ある午前中のことだ。私はパソコンに向かっていた。
現実逃避のために私は多くの時間をこの場所で過ごしているが、ふと見上げると、「彼」がいた。
クラウザー3世の子孫か。
私は思いをめぐらせる。
ちょうど4年前の今頃だ。
ヨハネ・クラウザー3世と名づけた小さなクモとの別れがあった。
歳をとるにつけ、虫や生き物の許容キャパが増えてきたことに自分でも驚いているが、このクモもちょいちょい顔を合わせているうちに、何となく愛着が湧いていたのである。別れは少しばかり残念であった。
そして後味の悪い最後であった(笑)
最近このクラウザーファミリーを、家の中のあちこちで見かけるようになったのだ。
1匹ではないはずだ。本当に良く見かける。
3世への後ろめたい気持ちもあったので、私は彼らを暖かく見守ることにしていた。
そして彼らも私に干渉することはなかった。
こうして何となく、お互いに「他人」として認め合ってバランスをとっていたのだ。
そしてその朝、目の前の壁にいたのである。仮にクラウザー12世としよう。
たいがい私は、やるべきことに集中していないのだ。すぐにそちらに気をとられる。
ふ~~ん、良く見るとこんな形なんだね。
足8本の他に手みたいなものが一組ついている。
手?いや、足?な訳ない、口??
気になる出すと、果てしがない。
たいがい私は、やるべきことから逃げたいのである。
そもそもクラウザーさんって、誰なんだろう?
アダンソンハエトリ、ですって(笑)
クラウザーどころではない、アダンソンてEE:AEB64アダンソンなのにハエトリってEE:AEB64EE:AEB64
クラウザー改めアダンソンさんは、家の中で見られるメジャーなハエトリ蜘蛛だそうで、コバエやミニゴキぐらいならチャチャッと食べてくれる益虫とされていた。
そればかりか、結構人気があるので驚いた。
可愛いので触りたいとか、餌付けしたいとか。
砂糖水が好きらしいw どれ、私もやってみようじゃないか。
これまで他人行儀過ぎた。思い返せば長い付き合いだったじゃないか。砂糖水のひとつも出さずに、ごめんな。
砂糖水をつくるのが面倒だったので、麺棒を濡らして砂糖ケースに突っ込んだ。「男の料理」みたいに感じてくれるといいのだが。
壁の前に行くと、彼はまだそこにいた。
ど、どれ、この麺棒を・・・。
・・・ちょっとやっぱ怖いねEE:AE5B1付き合いが長いといっても、そんなに干渉したことがないのだ。リアクションが想像できない。
ゆっくり遠くから少しずつ、麺棒を近づける。
よけるアダンソン。
正面に麺棒を持っていく。
よけるアダンソン。
どうやら警戒しているのか、麺棒を避けている。
ダメか。
まぁ学習するらしいから、少しずつ焦らずね。
そしていま一度、近づいてアダンソンを覗き込んでみた。
ぎゃ~~~~~~~~!!!
飛んだっっ、こっちに飛んできたっEE:AEB30ピョンピョン跳ねながらEE:AEB30
無理だEE:AEB30やっぱり友達になれそうもないEE:AEB30今まで通りでいこうEE:AEB30あなたはそっち、私はこっちEE:AEB30
ビックリしたなぁ、もう。
やはり愛は、自然に育まなくてはいけないと痛感。