賛否両論、真っ二つに分かれる作品だろう。
カンヌ国際映画祭で上映された後は、拍手喝采と同時にブーイングも起こったとのことである。
監督:テレンス・マリック
キャスト:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン
1950年代のこと、まだ少年だったジャックはふたりの弟と優しい母、厳格な父と暮らしていた。
そこそこ裕福で、平和な日々。
ジャックは誠実で優しい少年であった。
しかし威圧的なまでの厳格さを持つ父親に、やがて嫌悪感を抱くようになる。
ジャックの心は歪んでいく。
そしてその歪みと戦うジャック。
そこにはいつも、「神」の存在があった。
いつも近くに感じられるのに、なぜ神は人間にこのような仕打ちをするのか。
神は与え、神は奪う。
いつしか背を向けるジャック。そしてその苦悩・・・。
えーっと、これはキリスト教推進映画でしょうか??
「家族愛を描いたヒューマンドラマ」などと解説しているところもあるが、私にはそうは思えない。もっと大きなスケールを描いたものだと思う。
神、命、愛。生きていくということ。
宇宙が生まれ、地球が生まれ、命が生まれ、そして星が消える。
その中のほんの一瞬を生きる私達。
そのほんの一瞬の中で、私達は苦悩する。
しかしその苦悩も、神を信じることができれば、喜びにすらなるのである。
だから人は戦う。
困難を乗り越えるためには、神を信じるのだ。
それでもあまりに大きな困難の前には迷いが生じ、それがまた苦悩の奥深くへと自分を引きずり込んでいく。
生きることは苦悩だ。
しかし神を信じればその苦悩から這い上がれるのである。
こういった宗教的な考えは、誰にでも受け入れられるものではない。
なのでこの作品は、観る側によって賛否両論分かれるのだろう。
伝えたいことは「思想」という曖昧なものであり、作品そのものには確固としたストーリーがない。
支離滅裂と言えるほどのつかみどころのなさには、辻褄を合わせようと思うとついていけなくてストレスを感じることだろう。
抽象的で、まるで、目を凝らせば浮かび上がってくる3D画像のようなものである。
そこにはきっと壮大なメッセージがあり、響く人には響くのかもしれない。
私個人の感想としては、やはり良く意味がわからない、というところだ。
ただ、嫌ではなかった。
何かを伝えようとしている、それが自分の中のどこかで引っかかっているような不思議な感じ。
映像が綺麗であったり、ちょっと怖いような懐かしいような感覚も心地よかった。
時に、たまたま最近、宗教について考えることがあったので、共鳴する部分があったのも私の中での良い評価に繋がったのかもしれない。
いま合唱団でやっているオペラは修道院が舞台であり、敬虔なキリスト教徒の主人公が子供を亡くす。
その苦悩を、神に感謝するのである。
理解しがたい感覚だが、神を信じきっていれば、委ねればいいのだろう。
私の中にも「にぼし神」という神(便宜的に神、とする)がいる(笑)
自分が楽になるために作り出した存在だ。
辛いことは全て、この「にぼし神」の計らいだと思うようにしている。
万能の神だ、なにか思惑があるはずなのである。黙って甘んじていれば、自分のためになるようにできているのだ。
にぼしを信じてるから、任せておく。そう考えれば、諦めもつく。諦めがつけば楽になる。
もちろん、そんな簡単に丸く収まることばかりではない。
だから私も戦っているのだ。
人を赦せるように。
ぽ子のオススメ度 ん~~、自分は賛否どっちか知りたい人だけ観ればいいんじゃないか??
誰もが楽しめる作品ではないので、勧められない。
キリスト教信者には★5つで推すかな(笑)
ダンナのオススメ度 ★★☆☆☆
う~ん、何が言いたいのか良く分からないEE:AE5B1
途中に入る映像は凄く綺麗で良かったEE:AE4F9