「ハイハイハイハイ、スマホ充電しとくよ~。」
最近休日の朝は、ダンナがこのようにして私のスマホを回収していくようになった。
出かけようと思うと充電がピンチになっていることが多いので、早起きのダンナが回収して充電してくれるようになったのだ。毎週末二日酔いの身としては、大変助かっている。
「う・・・。たぶんその辺に・・・。」
毎週末、二日酔いだ。ギリギリ残った気力で、スマホのありかを思い出そうと試みる。
たいがい、ベッド周りだ。寝る前にFBやらインターネットやら。
「ないよ~。」
う・・・。ないとな。前夜はスマホいじる余力すら残ってなかったのか。どうりで凄まじい二日酔い。
仕方なく体を起こしてバッグの中を捜す。
「・・・ない。」
「ない!?」
私は再びベッドにもぐり込んだが、「ちょっとちょっと!!ないなら回線止めなきゃ!!早く早く!!」
「え・・・、今??」
「いまッ!!」メンド臭いなぁ・・・。
しぶしぶリビングに下りて行き、顔だけ洗ってauに電話。まずは位置検索サービスだ。こんな時のために、スマホの設定は済ませてある。
お客様の電話番号。
契約者の名前。
暗証番号。
少々お待ちください。
2、3分かかるという。いつ戻ってくるかわからないので、受話器を耳に当てたまま、ボケーッと保留音を聞いていた。メンデルスゾーン、春の歌。
1分ほど経った頃か。
突然ピーッという電子音が、私のバッグの中から聞こえてきた。
・・・・・・このタイミングでこのような音がこのような場所から。
もうエンディングは見えてしまった。ダンナの蔑むような薄笑い。
バッグの中をもう一度、下からひっくり返すようにまさぐってみる。
「てへへ、見つかっちゃったよEE:AEAC5」とでもいうように、一番下からその探し物は姿を現した。
参ったね、auのコールセンターでは今、あなたを探し出そうとしているわよ。
やがて電話に戻ったスタッフは、「結果が出ました。」と言って、馴染みのある住所をゆっくりと発声した。
ハイハイ、もう言わんでもわかっちょるばい。しかし厳密には番地がほんの少しだけ違っていたが。
最後に「見つからなかった場合の機種変更」についての無駄な説明までキッチリ聞いて、「家の中にありそうなので、もう一度探してみます。」と電話を切ったのだった。
これが4日前の話だ。
そしてまさかその3日後に、同じ電話をする羽目になるとは。