目が覚めてから一日中、私はボーッとしていた。
私は何度もその日見た夢を思い返し、その人のことばかり考えていたのだ。
私には夢の影響力が大きい。
いい夢も悪い夢も、鮮烈であるほど、目が覚めても残ってしまうのだ。
今回はいい夢の方だったが、それはそれで切ないものである。私はもう、戻れないのだ。
客観的に見れば、バカバカしい夢だ。
そう書けばおよそ想像がつくだろう(笑)
相手はチューヤンだ。チューヤン。
なぜ今、チューヤンなのかと考えた。
確かに私は、気の弱そうなメガネに弱い。電波少年も欠かさず見ていてそこそこチューヤンに好感は持っていたと思うが、それが今、20年の時を経て、私に決定打を放ったのである。
以前映画で、他人の夢に侵入して現実世界を操作するという話があった。恐らく可能だろう。夢に侵入できればの話だが。
私はあれからすっかりチューヤンに心を奪われ、チューヤンサイドの思う壺である。
今この日本でチューヤンに思いを寄せている女性は、何人いるだろうか。
チューヤンも、まさか今この日本に自分を思う女性がいるとは考えもしなかろう。
無意味だ。
こんな無意味なことに気持ちを持っていかれるのはバカバカしい。
これからスタジオに入らなくてはならないのだ。私にはやるべき事がある。
で、上の部屋からは、ダンナが「やるべき事」をやっている音が聞こえてくる。
さらばチューヤン。
私も行きます。