オペラ観に行ってきたのだ。
日本人初のドイツ宮廷歌手・小森輝彦の、「ノーブルな響きで導かれる音楽の真髄」を聴きにいったのである。
ノーブル??
パンフレットにそう書いてあったのだが、ノーブルって何??
調べてみると、「気品のあるさま、高貴なさま」となっていた。
45年間、気品とも高貴とも縁がなかったために、ノーブルという言葉にも縁がなかったということか。
して、なぜにして「小森輝彦」であるかというと、うちの合唱団員に、ドイツ宮廷歌手の奥様がいたからである。彼女がいなかったら私は、一生「ノーブル」の意味を知ることはなかったかもしれない。
知らなかったといえば、会場のある「千駄ヶ谷」も初めて降りた駅であった。
千駄ヶ谷ってどこ?という話になり、ダンナは港区だ、私は墨田区だなどと言い合ったが、意外と近かった。代々木の次である。
総武線という地味な電車でその駅に降りると、結構な人であった。
千駄ヶ谷って、意外と大きな駅だったのか?などと考えながら改札に向かうと、途中のトイレに長蛇の列ができていた。全部若い女性。
「・・・これは何??」
混雑した改札を抜けると、下界はすごいことになっていた。
とにかく人、人、人。
飲み物を買おうと思って入ったコンビニも、「最後尾」というプラカードを持った人がいるほどの列である。
これは今日の千駄ヶ谷には、何かが起こっているはずだ。
よく見ると、「チケット譲ってください」という紙を掲げている人が、チラホラいる。
ライブか。目の前には国立競技場だ。
どうやらラルクのライブがあるらしい。そっちも悪くないな(笑)
私の中で、日本一のイケメンはHyde、次はチューヤンなのである。詳しくは明日。
ラルクファンの中を縫って、津田ホールに向かう。
ここに吸い込まれていく人は、品のある人ばかりであった(笑)私もそっちサイドだ。誇らしい。ノーブル。
入り口で合唱団の先生が困惑した顔で立っていた。マエストロ・一色と待ち合わせているらしいのだが、彼が現れないと。
つくづく「遅れる」とか「忘れる」とか、そういうイメージの人である。もっきゅん。
客席はほぼ満席であった。
隣に鼻息の荒い人が座ったので気になったが、ステージはとても楽しめた。
うまい言葉がないが、「さすが」である。
どっしりとして伸びやかな歌声は、なるほど「ノーブル」という言葉が似合う。
「あれっ?」と思うような場面は一度もなく、完璧なステージであった。拍手。
会場を出ると、先ほどの群集はみんな国立競技場に吸い込まれたようで、さっきとは打って変わって静かになっていた。
寒い寒いと言いながら電車を乗り継ぎ、寒い寒いと言いながら焼き鳥屋に向かった。
焼き鳥を貪り食いながらふと思う。
小森さんも焼き鳥を食べることがあるだろうか?
ステージの後に食べる夕食が気になったぽ子である。
恐らく、ノーブル。