水曜日、ヒトカラ、合唱の個人練習日である。
サボりがちであったが、ドイツ語の歌がにっちもさっちもいかないのだ。
ついでにいうと、先日書いた「流浪の民」の日本語もにっちもさっちもいっていない。
音符を追えば歌詞が追えず、歌詞を追えば音符を遭難する。
そのように言ってみたのだが、先生は理解してくれなかった。
こんな状態は、彼らには理解の外にあるものなのである。「ありえない」ということだ。
とにかく、どちらかだけでも完全にインプットしないと、もう一方も先に進めない。
先生は、「両方同時にインプットが理想的」と言ったが、家でボソボソやっていてもさっぱり両方ともインプットされなかったのだ。
やはりそれなりの場所でそれなりに歌っていかないと、単なる朗読になってしまう。
今日の練習は、避けられない定めであった。
ところが花粉症のみなさん、今日はいかがでしたか?
私はもう鼻が垂れて垂れて、ティッシュのせいで鼻の下ヒリッヒリだ。
昨日まで全然平気だったのに、つくづく思い込みに弱い人間である。毎年花粉症の幕開けは、ライブやスタジオ練習前だとか、大切な飲み会の日だったりするものだ。
ティッシュをたくさん持って、カラオケボックスに向かう。
歌いやすい方を先に練習しよう。
「比較的」歌いやすい方だ。「流浪の民」も、日本語離れした日本語である。油断ならない。
なんと、「ゆめにらくどもとめたり」は、「夢に楽土、求めたり」であった。「夢、にらくども、とめたり、なんじゃそりゃ」ではなかった。
ゆっくり歌い、しっかりと歌詞を当てはめていく。ゆっめ~にらっく~どもっと~~め~~たり~~。なんじゃそりゃ。うふふ。
真面目にやらなくては。流浪だけで1時間経ってしまった。
いやー、もはやドイツ語、言語とは思えん。誰かがアルファベットを目隠しして適当に並べたんじゃないか?
ど頭から「プフリュ」を1音に入れるとか、どう圧縮したらいいのか。
プとフは子音だけなのだが、私は生まれてこのかた、そのように長く子音を並べたことがないのである。
そして「リュ」の母音も、「ウ」の口で「エ」と発音しなくてはならないのだ。「プフ」を乗り越えても、すぐにこのような困難が待ち受けているのである。
曲は始まったら待ってはくれないのが普通だが、早速最初の1音で「待った」がかかる。
どの口で何て言うんだっけ??いちいちノートを広げて確認。
この後に「オ」の口で「エ」というのもあり、この、母音の上にチョンチョンついてるヤツの音がこんがらがってすぐに出てこないのである。
ザウラーアルバイトシュヴィッツェン。アルバイト。
たったひとつ、聞きなれた言葉があった。そこだけ妙に生き生きとしてしまうが、そのフリーター的な響きが滑稽である。
実際は「仕事」という意味で、「非正規雇用者」に限らぬようだ。
ザウラーアルバイトシュビッツェン。シュビッツェンが難しいEE:AEB64
2時間ほとんど休まずに使い切ったのは、初めてである。むしろ2時間では足りないぐらいであった。
合唱団の練習は4日後だが、せっかく覚えたシュビッツェンや、夢にらくどもなんじゃそりゃがどんどん流れ出てしまいそうで、本気で怖い。
家に帰ってきたら、鼻水はピタッと止まった。
思い込み病人である。
歌の方も、思い込みで歌えるようにならないものか。