人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

幸福な馬鹿者と、不幸な馬鹿者と

次の合唱団の発表会に向けて、練習が始まった。

今度はオペラなしの純・合唱コンサートで、練習の方も、歌い方に力が入っている感じだ。

そうすると際立つのね、私が下手なのがEE:AEB64

私の個人練習も、再開した。

これまで色んな言い方で指導されてきたが、今回は「お好み焼きをひっくり返すやつを、上あごに当てるように」である(笑)

難しいが、だんだん言いたい事が分かってきた気がする。

どんな言い方をしても、行きつくところはひとつなのだ。

上顎を張って。

これが今の私の課題である。

しかし「分かった」と言っても、「できる」とは違う。

指導者のいないカラオケボックスで、毎度私は途方に暮れる。上手くできないので、嫌で嫌で仕方がない。

すぐに座り込んで、ため息をつく。毎週この繰り返しである。

隣からは、若い男が大声を張り上げているのが聞こえてくる。

ヘタクソだ。

しかし羨ましい。気持ち良さそうに歌いやがって。

声だけはでかい。私と一緒だ。

でかいだけで、声楽的にはダメダメである。ひどく喉にかかっている。アゴをしゃくれて上向いて歌ってる姿まで浮かんでくる。

私の壁でもある。あてこすりかEE:AEB64

歌い始めは、むせる。喉に声がかかっているからだろう。

注文したジュースでうがいをしながら歌う。

注意点を書いたノートを見ると、「掴みかけた事」が書いてあった。

「アゴをこっ外してオエッと歌う」。

あぁこれ、先生にも良く言われるね。アゴはカコンと外れるぐらい開けなさいと。

確かにそうすると、自然と喉の奥が開く感じがするのだが、歌は「あ行」ばかりではない。

アゴを外した状態で「ウ」や「イ」を言うのは至難の業である。

その辺は上級者向けだ、私にはまだ早い。

とりあえず全ての歌を「ア」で歌うことにする。

・・・これでいいのだろうか?個人練習に、答えはない。

不安になって、鏡を見る。

ぶっ、極限まで口を開けているのでタレ目で顔は伸び、とんでもないアホヅラである。

そういえば、目もかっ開けと言われていた。

がっ、これでいいのか!?これが正しい歌い方なのか!?ベルカント唱法!?

一体私の目指している地点は、正しいのだろうか。相変わらず、息は続かない。

嫌になるよ、ホントに・・・EE:AEB67

隣からは、延々と気持ち良さそうに歌う声が聞こえていた。

困難を知らぬ馬鹿者め、自分の幸せを思い知れ!

あぁ、私も幸せになりたい。

願わくば、困難を乗り越えた後の。