次の合唱団の発表会に向けて、練習が始まった。
今度はオペラなしの純・合唱コンサートで、練習の方も、歌い方に力が入っている感じだ。
そうすると際立つのね、私が下手なのがEE:AEB64
私の個人練習も、再開した。
これまで色んな言い方で指導されてきたが、今回は「お好み焼きをひっくり返すやつを、上あごに当てるように」である(笑)
難しいが、だんだん言いたい事が分かってきた気がする。
どんな言い方をしても、行きつくところはひとつなのだ。
上顎を張って。
これが今の私の課題である。
しかし「分かった」と言っても、「できる」とは違う。
指導者のいないカラオケボックスで、毎度私は途方に暮れる。上手くできないので、嫌で嫌で仕方がない。
すぐに座り込んで、ため息をつく。毎週この繰り返しである。
隣からは、若い男が大声を張り上げているのが聞こえてくる。
ヘタクソだ。
しかし羨ましい。気持ち良さそうに歌いやがって。
声だけはでかい。私と一緒だ。
でかいだけで、声楽的にはダメダメである。ひどく喉にかかっている。アゴをしゃくれて上向いて歌ってる姿まで浮かんでくる。
私の壁でもある。あてこすりかEE:AEB64
歌い始めは、むせる。喉に声がかかっているからだろう。
注文したジュースでうがいをしながら歌う。
注意点を書いたノートを見ると、「掴みかけた事」が書いてあった。
「アゴをこっ外してオエッと歌う」。
あぁこれ、先生にも良く言われるね。アゴはカコンと外れるぐらい開けなさいと。
確かにそうすると、自然と喉の奥が開く感じがするのだが、歌は「あ行」ばかりではない。
アゴを外した状態で「ウ」や「イ」を言うのは至難の業である。
その辺は上級者向けだ、私にはまだ早い。
とりあえず全ての歌を「ア」で歌うことにする。
・・・これでいいのだろうか?個人練習に、答えはない。
不安になって、鏡を見る。
ぶっ、極限まで口を開けているのでタレ目で顔は伸び、とんでもないアホヅラである。
そういえば、目もかっ開けと言われていた。
がっ、これでいいのか!?これが正しい歌い方なのか!?ベルカント唱法!?
一体私の目指している地点は、正しいのだろうか。相変わらず、息は続かない。
嫌になるよ、ホントに・・・EE:AEB67
隣からは、延々と気持ち良さそうに歌う声が聞こえていた。
困難を知らぬ馬鹿者め、自分の幸せを思い知れ!
あぁ、私も幸せになりたい。
願わくば、困難を乗り越えた後の。