人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

旅にふたつの恐怖

旅行に行くにあたって、心配なことがふたつあった。

ひとつは毎度のことだが、夜眠れるか。緊張とオバケの恐怖で寝れないのである。

もうひとつは飛行機。もう、行く度に恐怖心がレベルアップしていく感じだ。

昔は全然平気だったのに、普通は慣れていくものではないのだろうか。

歳をとることによって想像力が豊かになり、ネガティブな想像も豊富になっていくのだろうか。

この2つの「恐怖」への対策が、旅行の計画と共に私の中では練られていたのであった。

まず、速やかに眠る方法。

これは泥酔すれば簡単に済むことなのだが、翌朝は4時半起きである。泥酔は危険だ。

まぁ飲むには飲むが、この際酒はあまり頼りにならない。

となると、どうしたらいいか?

こんな方法ばかりで情けないが、「腹一杯で苦しい」作戦だ。

みんなそうなのかは分からないが、少なくとも私達夫婦は、食べ過ぎるとテキメン眠くなる。

このセンを狙うことにした。

町田でデカ盛りラーメン食す。

初めて行った店だったのだが、意外と「デカ」ではなかったのだ。作戦失敗。

仕方なく酒を買ってホテルに戻るも、その時点で11時半、もう日付が変わろうとしていた。深酒しようにもできない時間である。

350の缶ビールを1本、500のサワーを1本。

鏡という鏡をバスタオルで隠し、電気もテレビもつけっぱなしでベッドに入る。

全く眠くない。酒も薬も効いている気がしない。

仕方ないので本を読んだが、一体どれほど寝れたのだろうか。

しっかり寝れなかったために、逆に朝はすぐに起きることができた。

夜1回、クリアEE:AE5B1この寝不足が、2回目の夜にうまく作用することを祈る。

次は飛行機だ。

45にもなってオバケと飛行機が怖いとか、本当に情けないことこの上ない。

しかし恐怖心というものは、自分でコントロールできないのである。

体長3メートルもある鬼が金棒持って突進してきたら、怖いでしょうが。それと同じである。

前回はやはり酒で解決したが(こうやって書いていて気づいたが、大概の事は酒で解決できるものである)、今回は朝7時の便だ。さすがに酔うほどは飲めん。

飛行機対策というより、旅行ハイでビールを1杯だけ飲んだが、これでは効果は望めないだろう。

あぁ、また地獄のような時間を過ごすのか。本当に、拷問である。どうしたらいいのか。結局何も思いつかないまま、飛行機に乗ることになってしまった。

座席にはイヤホンが置いてあり、音楽を聴けるようになっている。

いくつかチャンネルはあるが、曲数はそう多くもなく、すぐ飽きることが目に見えていた。

なので私はすぐに、イヤホンを前の座席のポケットにしまってしまった。

ダンナはチャンネルの曲リストを真剣に読み、イヤホンを耳に挿す。

そして飛行機は動き出したのだ。

しばらくはゆっくり動いている。飛ぶ気のなさそうな、単なる移動だ。

しかしこの時点で時々、「ギシ」とか「ガガ」とか、嫌な音が混じり、すでに私の心拍数は上がり始めていた。

生存者の証言:「そういえば、まだ離陸前から変な音がしてました。」

そんなシチュエーション、良くあるよねEE:AEB64

「もう音が怖いEE:AE5B1」ひきつってダンナに言うと、「これ、これ!音楽聴いてれば外の音、聞えないよ!」と、私がしまったイヤホンを取り出した。

た、確かにEE:AE5B1早く早くEE:AE5B1

あれこれチャンネルを変え、最終的に落ち着いたのは、クラシックのチャンネルであった。

オーケストラというものは、非常に多くの楽器で構成されている。故に、多くの音域、多くの音色がまるで隙間を埋めるように作り出される。ような気がするのだ(笑)飛行機の発する雑音が入る隙が少ない。

しかもたまたまこの時のラインナップは、ワルツ特集であった(笑)

ズンチャッチャ、ズンチャッチャを聴いているうちに、前夜の寝不足と先ほど飲んだビールが効いたのか、すぐに寝てしまったのだった。

かくして怖い思いはせずに、新千歳空港に到着。

いよいよ食い倒れの旅の始まりである。

あ、予告が嘘になってしまった(笑)ギターの話は次回かな??