旅行に行くにあたって、心配なことがふたつあった。
ひとつは毎度のことだが、夜眠れるか。緊張とオバケの恐怖で寝れないのである。
もうひとつは飛行機。もう、行く度に恐怖心がレベルアップしていく感じだ。
昔は全然平気だったのに、普通は慣れていくものではないのだろうか。
歳をとることによって想像力が豊かになり、ネガティブな想像も豊富になっていくのだろうか。
この2つの「恐怖」への対策が、旅行の計画と共に私の中では練られていたのであった。
まず、速やかに眠る方法。
これは泥酔すれば簡単に済むことなのだが、翌朝は4時半起きである。泥酔は危険だ。
まぁ飲むには飲むが、この際酒はあまり頼りにならない。
となると、どうしたらいいか?
こんな方法ばかりで情けないが、「腹一杯で苦しい」作戦だ。
みんなそうなのかは分からないが、少なくとも私達夫婦は、食べ過ぎるとテキメン眠くなる。
このセンを狙うことにした。
町田でデカ盛りラーメン食す。
初めて行った店だったのだが、意外と「デカ」ではなかったのだ。作戦失敗。
仕方なく酒を買ってホテルに戻るも、その時点で11時半、もう日付が変わろうとしていた。深酒しようにもできない時間である。
350の缶ビールを1本、500のサワーを1本。
鏡という鏡をバスタオルで隠し、電気もテレビもつけっぱなしでベッドに入る。
全く眠くない。酒も薬も効いている気がしない。
仕方ないので本を読んだが、一体どれほど寝れたのだろうか。
しっかり寝れなかったために、逆に朝はすぐに起きることができた。
夜1回、クリアEE:AE5B1この寝不足が、2回目の夜にうまく作用することを祈る。
次は飛行機だ。
45にもなってオバケと飛行機が怖いとか、本当に情けないことこの上ない。
しかし恐怖心というものは、自分でコントロールできないのである。
体長3メートルもある鬼が金棒持って突進してきたら、怖いでしょうが。それと同じである。
前回はやはり酒で解決したが(こうやって書いていて気づいたが、大概の事は酒で解決できるものである)、今回は朝7時の便だ。さすがに酔うほどは飲めん。
飛行機対策というより、旅行ハイでビールを1杯だけ飲んだが、これでは効果は望めないだろう。
あぁ、また地獄のような時間を過ごすのか。本当に、拷問である。どうしたらいいのか。結局何も思いつかないまま、飛行機に乗ることになってしまった。
座席にはイヤホンが置いてあり、音楽を聴けるようになっている。
いくつかチャンネルはあるが、曲数はそう多くもなく、すぐ飽きることが目に見えていた。
なので私はすぐに、イヤホンを前の座席のポケットにしまってしまった。
ダンナはチャンネルの曲リストを真剣に読み、イヤホンを耳に挿す。
そして飛行機は動き出したのだ。
しばらくはゆっくり動いている。飛ぶ気のなさそうな、単なる移動だ。
しかしこの時点で時々、「ギシ」とか「ガガ」とか、嫌な音が混じり、すでに私の心拍数は上がり始めていた。
生存者の証言:「そういえば、まだ離陸前から変な音がしてました。」
そんなシチュエーション、良くあるよねEE:AEB64
「もう音が怖いEE:AE5B1」ひきつってダンナに言うと、「これ、これ!音楽聴いてれば外の音、聞えないよ!」と、私がしまったイヤホンを取り出した。
あれこれチャンネルを変え、最終的に落ち着いたのは、クラシックのチャンネルであった。
オーケストラというものは、非常に多くの楽器で構成されている。故に、多くの音域、多くの音色がまるで隙間を埋めるように作り出される。ような気がするのだ(笑)飛行機の発する雑音が入る隙が少ない。
しかもたまたまこの時のラインナップは、ワルツ特集であった(笑)
ズンチャッチャ、ズンチャッチャを聴いているうちに、前夜の寝不足と先ほど飲んだビールが効いたのか、すぐに寝てしまったのだった。
かくして怖い思いはせずに、新千歳空港に到着。
いよいよ食い倒れの旅の始まりである。
あ、予告が嘘になってしまった(笑)ギターの話は次回かな??