睡魔との戦いが始まる。
眠くならないように、一日のスケジュールをタイトかつハードに組む。
最初の難関「ダンナを送り出した後」には、ブログの下書きを2つ。
そしてそれを終えると、そろそろ病院に行かなくてはならない事を思い出す。
予約を入れなくては。
この電話ひとつの時間も惜しい。スケジュールにできるだけ遅れをとりたくないのである。
「サンタイザベル・ぽ子さん、はい、安西先生ですね。いつ来られますか?」
「いつでもいいです。」なんとなく屈辱的なのはなぜだ。
「じゃあ今日とかはいかがですか?」
「き、今日、っはい、大丈夫です。」
カーッ、スケジュール、どうするんじゃい。タイトかつハードは。
どうも小心というか、調子がいいというか、いいです、大丈夫です、が多過ぎる。
まぁ別に用事がある訳じゃないから、大丈夫っちゃ全然大丈夫なのだが。
かくして、3時半に予約が入る。
こうなったら優先順位の高い予定から猛スピードでこなし、できなかった分は明日だ。
全部こなせちゃったりしたら、ちょっと気分いいかもEE:AE478
専業主婦の小さな仕事への意欲である。
最優先は、晩御飯である。
さかのぼって、レシピを考える、買い物に行く、が先になる。
洗濯機を回しつつレシピを考え(るのではない、探すのだ)、昼前に買い物に出た。
その帰り道のことである。
近所のアトリエ(具体的にどうアトリエなのかは分からない。そういう看板が小さく出ているのである)の前を通り過ぎると、男性がひとり、困惑したように立っていた。
明らかに困惑しているのなら私も自転車のスピードを落とすなりして様子を窺うのだが、その困惑度合いが非常に微妙な線で、つまり実は困惑していない可能性もある程度だったので、私は横目でチラリと見ただけで、通り過ぎてしまったのだ。
その短い間に分かったこと。
男性は、アトリエの前に停めてあった自転車を見ていた。
ちょっと距離を置き、戸惑うように周りを見渡した。
自転車がどうかしたのかな?と私もそっちを見ながら進んだ。
私も自転車だったので、一瞬の出来事である。通り過ぎてから私も「あれ??」となった。
その自転車のサドルには、見たこともないような鳥が止まっていたのである。
通り過ぎてから、しまった、続きが見たかった、と心から悔いた。
とてもきれいな鳥であった。
男性の戸惑いも、そういうところから来ていたのだろう。
ああ、戻るのもおかしいし、とか何とか考えているうちに家に着いてしまった。おかしくてもいいから、戻れば良かった。
あの鳥はなんだろう?野鳥??
家に着くと私は、買ったものをしまうこともせずにまず野鳥図鑑を開いた。
大きさをもとに探していく。
見つからない。
珍しいといっても、こんな住宅地にいるぐらいだ、どこかに載っているはずである。
結局私は、全てのページを見た。なぜ見つからない?
これは長丁場になりそうだ。塩鮭とノンアルコールビールを冷蔵庫にしまう。
次はインターネットだ。
ふたつの相談サイトに質問し、返事を待ちながら自分も調べていく。
特徴は、
目か首のあたりに太い鮮やかな黄色いライン。
背中と翼はグレー。
胸は白。
大きさはすずめよりふた周りほど大きい。
ずんぐりむっくり。
チチチチチチッと鳴いていた。
これらの特徴をキーワードに検索をかけていくが、全く見つからない。イライラ。もうスケジュールなど知ったことではない。
今度はネットの野鳥図鑑を片っ端から見ていく。文字通り、片っ端から、舐めるように、隅から隅まで。
それなのに見つからないのである。おかしい。
一方、相談サイトの方にも返事があったが、どれもハズレであった。
回答者の気持ちも分からなくはないが、私が説明した特徴全部を満たしたものは、ひとつもなかったのだ。
なぜ見つからない?そんなに貴重な鳥なのか?
そこで、全然違う鳥だが、ホンセイインコという鳥の画像が出てくる。
緑の大きなインコ、というかほぼオウムである。そしてこれ、近所で見たことがあるぞ。
もともとペットだった鳥が野生化しているそうだ。
ペット。
もしかしたらあの鳥は、ペットショップで売ってるような鳥だったのか?
そういえばあの男性は、戸惑いながらも鳥に近づいていくところであった。
結構近かったのに、逃げないなぁと思ったじゃないか。
人馴れしているのか?
で、予定では「その鳥は○○でした」となるはずだったのだが、本当に見つからない。
みんなで作る野鳥図鑑などという非常に詳しいサイトを見つけ、その中のすべての鳥を見たが、出てこなかった。
季節によって変わる羽の色や亜種まで載っているのに、その全てを見たのに、どこにも載っていなかったのだ。
これではオチがつかない。
つづく・・・としておく。
期日は未定(笑)