何となく聞いたことあるなぁ、という軽い気持ちで買ってしまったのだ。
多分、そこそこ有名な人(笑)一応押さえておこうか、ぐらいの気持ちであった。
親友であったはずの同僚・貴世美に振り回され、退職を余儀なくされた景子。
その恨みが消化できずに、5年後、貴世美を追い始めてしまう。
仕返しをしたい訳ではなかった。
ただ、今はどうしているのか、あれ程いやな目に合ったのに、なぜか気になってしまうのである。
魔性の女、貴世美。
景子もまた、貴世美に囚われたひとりなのである。
すでに貴世美も仕事を辞め、始めた事業も失敗して行方を捜すのは簡単ではなかった。
しかし貴世美を探すほどに、近づいてくる「気配」。
貴世美もまた、景子を追っているのか。
再会は、意外な場所であった・・・。
序盤はまるでメロドラマもような展開である。
男を翻弄する貴世美、それに巻き込まれる景子。
下らないなぁと思いながら読んでいたが、やがて景子にまとわりついてくる気配が感じられるようになってからは、ミステリアスなムードに一変する。
そのゾッとする感じは身近な恐怖感であり、こちらも手に汗を握る。
どんでん返しのような、予想できないラストだが、ちょっとありえない展開でこちらはガッカリ。
景子が貴世美を追う動機なども理解できず、「動機付け」の甘さがある。
しかし、どこの社会にもひとりぐらい配置されている、女性に嫌われるタイプの貴世美への嫌悪感は共感できた(笑)
女性向けの話である。
ぽ子のオススメ度 ★★☆☆☆
「五年目の魔女」 乃南アサ
新潮文庫