ミステリーはあまり好んで読む方じゃないのだが、「人と人との強い絆を描く感動策!」というフレコミに惹かれて読んでみたのだ。
初めて読む作家である。
麻美子の父親は、14歳の時に女ができたといって出て行ったきりであった。
その後会うことはなかったが、毎年手紙が届くようになっていた。
優しかった父の手紙は昔と変わらず思いやりに溢れており、家族を捨てて出て行ったにも関わらず、思いは募る。
そんな父の親友山部にはその後何かと世話になり、麻美子も彼を父親のように慕っていたが、山部の会社が厳しい状況にあるのを知り、何とか助けようと思う麻美子。
金目当ての結婚を決意するが、やがて起きる殺人事件は麻美子や山部の家族を巻き込み、あらぬ方へと流されていくのである。
こんな時、父がいてくれたら・・・。
麻美子は父親探しに乗り出すが、そこには予想をはるかに越えた展開が待ち受けていた・・・。
いやー、もう凄い勢いで読みきってしまった(笑)
もう先は全然読めないし、でも気になるし。
家族愛がテーマになっているだけ身近で、読みやすかった。
ラストはだんだん途中で分かってくるが、それでも衝撃的だった。
ただやはりミステリーであり、死んでる人、多過ぎ(笑)
ありがちな偶然なんかもいかにもフィクションだが、そこに目をつぶればかなり楽しめると思う。
単なる小説というだけではなく、生きるという事、家族の絆などについて考えさせられる深い作品だった。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「父からの手紙」 小杉健治
光文社文庫 ¥648(税別)