続編になります。
EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531EE:AE531
やっと本当の事が、かあちゃんに伝わって嬉しい。
全く、伝説だとか言い伝えだとかは美化されちまっていけねえ。
最初に言っとくが、オレの名前は「パトリツィオ」なんていうスカした名前じゃねえ。
正しくは「チンコロ黒助ほにゃらかブー」、あの頃は「チンコロブー」と呼ばれていた。
むしろ黒助じゃねぇか、今思えば悪意のあるあだ名だ。
ババァはアバズレだ。
オレの他に4、5匹兄弟がいたはずだが、いつの間にみんなどっか行っちまった。
オレらは邪魔だったんだよ。
噂では捨てたとか食っちまったとか色々言われている。
もう兄弟の顔も何も思い出せねえが、子供心に不安だったんだろう、だからオレはババァの後をいつもくっついて回ってたんだ。
父親?
ああ、アレッサンドロと言うスナイパーがいた事は確かだが、ゴルゴ13ほど遠い世界のヤツだよ。
あいつのファンの友達のいとこの弟に似てるってヤツならウチの縄張りをウロウロしてたが、そいつが怪しいとオレは睨んでいる。
ババァはとにかく、遊びたがっていた。
オレだって遊びたい年頃だったが、ババァの方が遊んでいるのだ、それどころじゃねえ。
気を抜くとすぐにいなくなっちまうから、寝るも遊ぶもままならない状態だったぜ。
そんなババァがよ、たった一度だけ、オレを誘ってくれたんだよ、町に。
あの日のババァは優しかった。
オレは嬉しかった。
疑ったり勘ぐったりなんかしなかった。
あんなババァでも母親なんだぜ、オレはババァが好きだったんだ・・・。
で、工場だ。
塀から転げ落ちるなんてヘマをオレがするか。
必死で毎日ババァについて行ったんだ、それはまるで星一徹ほどの過酷なトレーニングだぜ。
ババァは言った。
「ここで待ってなさい。お兄ちゃんたちを呼んでくるから。」
そこは工場の積み上げられた資材の隙間だった。
オレは当時まだ覚えていた兄弟たちとまた会える喜びに、寒さも忘れてひたすら待ったんだ。
ババァはご丁寧に、ダンボールでオレの頭上にフタまでしていった。
それきりだ。
話ではひと晩になってるようだが、冗談じゃねえ、3日だ、3日!
ずいぶん鳴いた。
3日目にやっと人間が助けにきたんだ。
猫が猫を捨てて、それを人間が拾う。なんて話だ。
それからオレが「ピー」しか言えなくなったのは、大声出すとババァにしばかれたからだッ。
あのとき大声出したのは、ババァがしばきに戻ってくるかもしれないと思ったからだ。
もう昔の話だ、今は人間のとうちゃんとかあちゃんとねえちゃん、猫のねえちゃん達と幸せに暮らしているからババァの事などもうどうでもいい。
でも、どうやらかあちゃんが、近所の人から本当の話を聞いたらしいのでオレはちょっと満足している。
どこのどいつだ、綺麗にまとめやがったのは。
オレは捨てられたのさ、母親に。
名前はチンコロ黒助ほにゃらかブー。
EE:AE53EEE:AE53Eという事で(笑)私はほとんどご近所さんと話をしないので今まで知らなかったのだが、大五郎は資材に「挟まってしまった」のではなく、「母親が置いていった後、挟まった」ということであった。しかもそのまま3日も放置だったと。この話を聞いたダンナはしばらくの間、大五郎を見ると「可哀相に」「3日間も」といちいち慰めに行っていた。ちなみに母親も黒猫だったそうだ。EE:AE53EEE:AE53E