足上げ腹筋、ブレストレーニング。
水。うがい。トローチ。
ひたすらこればかりを繰り返しているが、だんだんこんな事だけで意味があるのか不安になってきた。
そろそろ声を出してみたいが、ここでは無理だ。
ならばしかし、いつ、どこで?
見通しもつかず、ただ足を上げてフーと息を吐いている。
間近のライブでやる曲は、私が無理を言ってお願いした曲である。
酔っていたため、私とは違う高い世界に住む方に頼み込んでしまい、自分の首を絞める結果となってしまった。
しかし結構テクニカルな曲なので、この機会を逃せばもうチャンスはないかもしれない。
練習するしかない。
本当に好きな曲なのだ。
しかし、軽く歌ってみたところで、大きな問題が露呈した。
高音を心配していたのだが、そちらは最悪潰して出れば何とかなる。
伸ばすところの声が続かないのである。
こいつはどうにもごまかしようがない。
サビの後半の一番の聞かせどころである。
不思議な事に、2ヶ所、どうしてもブツンと切れてしまうのだ。
しかしどのサイトもひたすら「ボイストレーニング」「ブレストレーニング」であり、これがどうロングトーンに結びつくのかが良く分からない。
何より、効果が全く実感できない。
ああ、思い切り歌いたい。
歌って確かめたい。
確かめて、ごまかす方法を考えたい。
それが可能な場所は、カラオケかスタジオだろう。
しかし、普段バンドの人数で頭割りして払っていた金額を、スタジオにひとりで払うのは割高だし、カラオケだと入っている曲ではないので何がしかの機材(私個人の場合、ラジカセレベルであるEE:AE4E6)を持ち込むことになるだろう。
他に方法がなければどちらかで手を打つが、調べてみると、世のボーカリストは色々と工夫していることが分かった。
例えば車で歌う。
なるほど。これならカーステに合わせて歌うこともできるが、できれば立って歌いたい。
枕に顔を押し付けて歌う。
階下のダンナにしっかり聞こえていた。
公園。
さすがにそんな勇気はない。
これはやはり、スタジオかカラオケか・・・。
今日も湯船につかって「フー」とか「ハー」とかやっていたのだ。
トレーニング中に喉を乾かさないようにしなくてはならず、風呂場は格好の場所なのであった。
シャワーのお湯をそのまま口に含めば良い。
その時、ふとひらめいた。
そのまま「アー」と言ったら、上手い具合にミュートされたのである。
私は立ち上がった。
目を閉じ、息を吸い込み、シャワーを口の中に突っ込んで歌った。
イケルイケルEE:AEB80
しかもシャワーが喉に向かって噴いてくるので、うがいしながら歌っているのである、スゲー。
何度かむせたが、スタジオ代よりダメージは低い。
しかし肝心なロングトーンは、簡単にできてしまった。
シャワーが息の排出を上手い具合に抑えているのだろう。ライブに持って行きたいぐらいだ。
この行為に意味はあるのだろうか。
トレーニングではなく、単なるうがいなのか。
何をやっても効果の実感がない。
ちなみにダイエットとしての効果も実感がない。
それから、バランスボールは大五郎が穴をあけてしまった。
唯一、進歩が分かるアイテムだったのに。