フランス史の小説を書かせたら天下一品の藤本ひとみ。
マリー・アントワネットについての本は多く出ているが、その子供達の運命についてはあまり知られていない。
私などは「ベルサイユのばら」で書かれたことしか知らなかったが、そう言えば生き残った娘はどうなったんだろうか。
ぜひ藤本ひとみ調で読んでみたい。
読んでみたらこれは小説ではなく、「歴史エッセイ」、著者がこの娘「マリー・テレーズ」の人生について語っているものであった。
ドラマを期待していたのでちょっと拍子抜けしたが、私はフィクションよりもドキュメンタリーなどのノンフィクションの方が好きなのだ。
さて、どこまでマリー・テレーズの真実に迫れるか。
革命により囚われの身となったルイ16世一家は、子供を残してみな処刑された。
息子・ルイ・シャルルは病死、たったひとり残された娘マリー・テレーズの不幸は革命当初から始まっていたが、「決して微笑んだことがない」と言われた彼女の悲惨な運命には終わりがない。
それこそドラマだ。興味深く読んだ。
しかし少々著者の思い入れが深いようで、ついていけない場面も多々。
実際にその場所に足を運び、思いを馳せたりするのだが、東村山の布団の中からではそれはイメージし辛いのだ。
いっそ私情は抜いて、事実(と言われている)部分だけに絞って欲しかった。
本にはこのマリー・テレーズの他に、色情狂と言われた「マルゴ王妃」の話も収録されている。
どちらもその運命だけでなく、「人として」「女として」どう生きたのかという部分に重きを置いているのが面白い。
でも藤本ひとみなら、やっぱり小説仕立ての方が楽しめるかな?
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「マリー・アントワネットの娘」 藤本ひとみ
中公文庫 ¥686(税別)