人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ベルギーからやってきた甘い猫

ふあああああああー、終わったぁ!

会社の仕事も終わったが、もっともっと大きな仕事を今、終えてきたのだ。

終わった終わった。

 

 

昨日、ダンナは会社を休んで家にいたのだが、私が仕事に行っている間にご近所さんがチョコレートを持ってきてくれたそうな。

カルディという輸入食材なんかを扱っているお店で、猫の模様のチョコレートを売っていたのでそれをウチにくれたのである。

 

正直、私は「おつきあい」というのが超苦手で、ご近所付き合いも全くダメである。

特に立ち話は苦痛なので、できるだけサササと挨拶だけで逃げるようにしている。

結果、たった11軒の集まりなのに、いまだに名前が分からない人がいる、という始末である。

まぁ誰とも深入りしたくないのだ、名前など知らなくても構わないが、決してみんなが嫌いで避けているわけではない。

チョコをくれた人は、工場の資材に挟まれて動けなくなっていた大五郎を助け出してくれた人で、品のいい優しそうな女性で私も好感を持っていた。

 

で、でも、チョコを・・・。

最悪なシチュエーションである。こうなると私はもう、どうしたらいいのか分からない。

頂き物をしたのだから、お礼をするべきだろう。

手ブラで行く訳にもいかないだろうが、もらったのはチョコである。

深い意味があったようでもないし、おすそ分けレベルと思っていいだろう。

 

なので、あまり「わざわざ買って来ました感」のあるものを持って行くのは良くなさそうである。

しかし、わざわざ買ってきた感のない物って??

実際家には人様に差し上げられるような物などないのだ、わざわざ買う事になる。

わざわざ買ったのにわざわざ買った感じのしない物なんかあるか?

 

 

やっと思いついたのは、無人販売の野菜である。

とれたての野菜だ。

私も欲しくて買った、ついでにおすそ分け、である。

昨日仕事から帰った時間では遅かったので、今日の朝、私は自転車で外に出たのであった。

 

近所に2軒ほどあったような気がした。

どちらもそう遠くはないので、両方見ていい方を選ぶ事にしたのだが、選べなかった。

不作である。

2軒とも極小のシナッシナ。

アテが外れてしまい、私は呆然としたまま自転車をこぎ続けたが、偶然3軒目を見つける事ができた。

「新鮮野菜」ののぼりが出ている。

 

あったのはシナッシナのネギと特大の白菜だけであった。

東村山の畑に、何が起こっているのか??

仕方なく別の案を考えながら、そのまま自転車をこぎ続けた。

どうしよう。

駅前のパン屋でどうだ?

パンのおすそ分けなら、そこそこ自然だろう。

しかし実際にはおすそ分けではない。

高いからウチの分は買わないよ!

くそー、やってる事が美しすぎる。

 

あてどもなくこいだので、知らない道に出てしまった。

やがてホームセンターの裏に出たので、ヤッホ、花買うね!とパンを後回しにして花売り場に向かった。

花を選びながら、「こんな事をしている時間はない」と言う事に気がついた。

午後の仕事が迫っているのだ。

駅前まで行かなくちゃならないのに、と言うか、なんでおすそ分けでもないのにおすそ分けみたいな顔して駅前のパンなど買わなくてはならないのだ、これだからお付き合いってヤツは、私は花が買いたいのに。

 

駅前めんどくさい、何でパンなんか、食べ物ならそこにケンタがあるじゃないか、もうケンタのチキンでいいじゃないか。

「おすそ分け」じゃなくて「ついで」である。

「Jマートに行ったんで、ついでにケンタに寄ったんですよ」と言えばいい。自然自然。

 

128円の花を3つ買い、ケンタでチキン2種の食べ比べセットというのを買った。ポテトつき。

自分の分はない。高いからね。

5分でなくなる食べ物ものよりも、1ヶ月癒してくれる花である。

くそー、今日は美しすぎる。

 

 

ご近所さん、留守だった・・・。

私も仕事に行かなくてはならない。

帰ってきてからこのチキンセットを渡すのか??

ポテトなんか、シナッシナになっちまうよ。

仕方ない、ポテト抜きのチキン2本だ。

何かだんだん不自然になっていく気が・・・。

 

仕事しながらずっと考えていたが、夜の6時に冷めたチキン2本ってどうなのか??

1本250円もするのに「2本」という響きが何ともケチくさく、しかも買って7時間も経ってるとか、・・・これはダメだ!!

ああもう、お付き合いって!!

 

仕事帰りに和菓子屋に寄った。

和菓子屋ぐらいしかないのだ。

焼き鳥と迷ったが、もうご飯は作っているだろう。

わざわざ感は否めないが、「ずっと気になってた店で、いいきっかけになった」とでも言えばいい。美しい。

 

むちゃくちゃ優しいオジサンがやっている店であった。

選んでいる間にできたてのどら焼きを食べさせてくれたが、実は私はダイエット中で、しかも甘いものは苦手であった。

だからそもそもチョコも食べる予定はないが、それでも食べるのが「付き合い」なのである。

 

 

しかし、ご近所さんの「猫が好きな人にあげたくて」という気持ち、和菓子屋のオジサンの「良かったら食べて」という優しさは、とても心地良いものを私に残してくれた。

 

そして、できたてのどら焼きもベルギーのチョコも、美味しかったのだ。

「また来ます」

そう言い残して、店を出たぽ子であった。