人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

決断、呆気なかった。

7時半に起きた。一番乗りだ。二人しかいないが。

しかし休日である。

用もないのに自らこの時間とは、何年ぶりか。

しかし、自然に起きた訳ではない。エルが鳴いたのだ。

あれからエルはミに対してひどく凶暴になり、隔離しなくてはならなくなった。

飲み続けで私の瞼はむくんだままだが、顔の傷も増えて、マスクなしで外出できなくなってしまった。

エルはちょっとしたことで興奮するが、朝が来た気配で鳴き出したのであった。

今日はエルを病院に連れて行くことにしていたのだ。

心配だったのでそのまま起きる事にしたが、一緒にリビングに下りてミの姿を見つけたエルは、すぐに姿勢を低くして唸りながら近づいていった。

一瞬早くミを抱き上げて惨事を逃れたが、もうこの2匹の仲は絶望的である。

エルを病院に連れて行くのは、ひとつの楽しみでもあった。

この子は車も病院も嫌がらないし、獣医さんにも愛想を振りまいてくれるので気持ちが良かったのである。

しかし今回は、そうはいかなかった。

車の中で鳴きわめき、着いてもキャリーバッグの中で鳴き続け、初めてのことに途方に暮れてしまう。

エルはすっかり変わってしまった。

一体何が起こっているのだろうか。

「発情期で凶暴化する猫さんは、実はとても多いのです。」

先生は落ち着いて言った。

凶暴化した猫が手がつけられなくなり、トイレの中から携帯で電話してきた人もいるらしい。

「このままこれを繰り返していくよりも、手術をした方がみんなハッピーだと思いますよ。」先生は柔らかく笑った。

優しい先生である。

「じゃあお願いします。」

私も笑って帰ってきた。

とは言え、不安がない訳じゃない。

避妊手術自体は難しいものではないようだが、実はエルの命を救ってくれた先生が「避妊手術反対派」で、ひどく脅かされていたのだ。

性格が変わることもある。

ストレスになる。

死ぬかもしれない、と。

洗脳に近い感じでインプットされていたので私も気が進まなかったのだが、この先生のあっけらかんとした言い方に力が抜けた。

まぁ、どちらかしかないのだ。

この状態(悪化するかも好転するかもしれないが)を繰り返すか、比較的安全といわれる手術をするのか。

一応術前に検査もしてくれるようだから、ここは先生に任せてみようと思う。

テキサス2バーガーを食べて、買い物に行って、寝る。

後はいつもの休日だ。

もういい加減酒も気が進まないが、土曜日だからねEE:AEABF

そろそろ始めるよ。