Pのクリスマスが終われば暇か、と言えば、そうでもなかった。
とことん寝てやるつもりだったが、「もうそろそろ行かないと」と昼に起こされた。
そうだった、娘ぶー子の成人式の写真撮影の日だった。
我が家では、振袖のレンタルとメイクやヘアメイクなどが写真撮影とセットになっているものを申し込んであったのだが、撮影は成人式とは別の日なのである。
私達はかなり遅くなってから申し込んだので、もう撮影日に空きがなく、「予備日」という日になっていた。
娘の代も、ギリギリ人生である。
しかし行ってみたら、予備日は混雑して賑わっていた。
ギリギリ人生は意外と普及していたのだ。
受付で流れを聞くと、だいたい3~4時間かかるという。
は?
写真撮るだけでそんなにかかるの!?
こんな、娯楽のないところで私にどうしろと・・・。
案の定、寝ていた。
待つだけの4時間は長い。
寝たお陰で短くなったが、突然呼ばれたのでたまげた。
寝ている人間は無防備なのである。
天使のように起こして欲しいものだ。
「ヘアメイクできましたので、ご覧下さい。」
やっと頭ができたのか。
深いことを考えずについてきたが、これは結構過酷な道のりになりそうだ。
マリー・アントワネットみたいな頭のぶー子がそこにいた。
どえらい膨らんだ頭は彼女の身長を20センチほど大きくしており、昔彼女が「巻きフン」と影で酷評した髪型と良く似ていた。
「よろしいですか?」と聞かれて「ハイ」と答えて終わったが、こうしてひとつずつ確認する役目が私のようである。
任せるから寝かしておいて欲しいのだが。
着付けが終わると、やっと、写真撮影だ。
どうでもいいが、呼ばれるたびにロングブーツを脱ぐのがホネである。
こんな仕事があるとは思わなかったから、前日服を着たまま寝たのをいい事に、そのままの格好で顔だけ洗って来たのである。
なので足も前日と同じブーツだ。
バリエーションがないのである。
「よし行くゼ!レツゴー!!」
カメラマンとはこういうものなのだろうか。
「ノリがいい」を越えて、ブッ飛んだ男性だ。
「おっ、いいねいいねいいねー」「う~~ん、可愛いッEE:AE595」「今のイイ!!」
・・・・・・・・。
私は娘の正体を知っているので、もはやカメラマンもぶー子も気の毒であった。
そいつはアバズレだぜ、ミスター。
着物もヘアメイクも、コンセプトは「極妻」だ。
これもまたずいぶん時間をかけて、たくさんの写真を撮った。
終わった、やっと終わった、と思ったら、こんどはこの中から使う写真を選ぶ作業であった。
デジタル時代である。
写真など、カードからパソコンに突っ込むだけですぐに見れてしまうのだ。
基本料金では、3枚である。
それも「この中から3枚」と決まっており、背景白で「立ち姿、イスに座った姿、アップ」とシンプルなものばかりである。
何十分も時間をかけて、100枚近く撮ったのだ。
唐傘を持ったり、紙風船を持ったり、屏風の前に座ったり、花びらを散らしたり、シャボン玉を飛ばしたり、振り向いたり、うつむいたり、それはそれはたくさんの写真を撮ったのだ。
その後に地味な3枚を選べ、他のが欲しければ1枚8千いくら、3枚目から6千いくら、ときたもんだ。
悪徳商法のようだが、負けた。
プロの撮った写真だ、綺麗に撮ってくれた。
ぶー子は「これは私じゃない」と言って恥ずかしがって目を背けたまま写真の選択権を私達に委ねたが、それほど見事にアバズレにフィルターをかけてくれたのだ。
写真の選択が終わると、選んだ写真を曲つきのスライドで確認する。
アコースティックギターのバッハに乗せて、アバズレぶー子が微笑んでいる。
「嘘だ・・・。」家族で爆笑。
後で「楽しそうでしたね」とあちこちで声を掛けられた。
やっと終わった、早くラーメンを・・・。
しかし今度は、レンタル着物の商品確認である。
1つずつ「腰ひも、3本、帯、・・・」などと言いながら箱に収めていくのを見ているだけ。
何だかわからん。プロに任せたのだ。いちいち確認させないでくれ、容量オーバーだ。
疲れた。
しかしこれでまた一仕事終わった。
今年は異例の忙しさである。
あと少しだ、ガンバレEE:AEACE