人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ハァハァ

久しぶりにバケちゃんの気配はなく、そういえば肩も軽くなった感じで良い目覚めであった。

こんな日に相応しい目覚め。

高尾山、解禁である。

何が解禁じゃ、いつでも行けるじゃろがボケ、って感じだが、私達には山だけではないのである。

と言うか、本音を言えば、山はキツいので夏の限定でお願いしたいのである。

しかもビヤガーデンとセットで。

しかし出発は午後2時。

いつものようにテレテレ起きて、いつものようにテレテレ過ごしてから行ったので、着いたのは4時であった。

ビヤガーデンのある中腹はリフトとケーブルカーの終点であり、最初のゴール的な場所である。

私はシーズン明けのハイテンションでそこまで歩いて登ってもいいと考えていたのだが、時間がなかったのでリフトで行った。

そしてこのリフト乗り場までの階段で、もう限界を見た。

もう山とか無理なんですけど。

ビヤガーデン直行でいいんですけど。

しかし、相変わらずビヤガーデンは行列であった。

仕方がない、少しは山を歩くか。

選んだコースは、蛇滝へのコースだ。

去年歩いた2号路から枝分かれしていたのだが、あの時は時間がなくて行かなかったのである。

勝手なイメージで15分ほどのオマケのコースだと思っていたのだが、これがEE:AEB64

人ひとりやっと通れるような道を、ひたすら下りる。

長い長い勾配である。

私が遅い理由はビビリだからなのだが、ここに足を置いたら滑るんじゃないか、勢いがついてコケるんじゃないか、などといちいち考えるために、時間がかかるのである。

それにしても、なかなか到着する気配がない。

滝の音もしない。

誰もいない。

私はだんだん怖くなってきた。

そんな時に、やっと下から人が上がってきたのだ。

その若い二人組に、「まだ長いですか?」と聞いてみたら、汗だくでシャワーでも浴びたようになっていたひとりが「ハイ、しかももっと険しくなります。滝も閉まっていて見れませんでした。」と言った。

滝って、開いたり閉まったりするものなのか??と思ったが、勝手に見れないようになっているのかもしれないと適当に納得した。

とにかく私は疲れていたのである。

「どうする?」とダンナは私を振り返ったが、こういう時の私は案外しぶといのである。

ここまで来てしまったし、先に何があるのか気になるじゃないか。

閉まった滝って何だ?

疲れてはいたが、戻ったって疲れるのである。

同じ疲れるなら、登りは後回しにしようぜ。

すれ違いざまに情報をくれた彼は、天からの救い主だったのかもしれない。

「まだまだ先は超長くて超険しい」と覚悟して歩いたために、結果的には「何だ、こんなもんか」で済んだ。

しかし行った先は修行の場か何かになっているようで、像やらなにやらがちょいちょい建っていて、バケちゃんが旬な私には怖かった。

で、言われたように滝は「閉まっていて」見れず、Uターンだ。

帰りは、来た道を戻るのだ。上りである。

ひたすら無言で上り続けた。

ハァハァと息が切れるので、無言にならざるを得ないのである。

時々先を歩くダンナが止まって振り返るが、私はジェスチャーで「喋れない」とやるのが精一杯であった。

私は「喋る」という事について、ちょっと分かった気がする。

息を吸いながらは喋れないのだ。

しかしこのようにハァハァしていると、吸うも吐くもコントロールできるものではない。

なので、どうしても伝えなくてはならない時は、「ハァ」と吐く時に一緒に言葉も吐くのである。

しかし吸う時には中断されるので、「ちょっとま」スー「ってね、今こ」スー「れ飲んだら行くか」スー「ら。」のようになってしまう。

一応通じるので、喋れないよりはいい。

喋れもしない時の方が、圧倒的に多かったが。

それにしても、なんでこんなに虚弱かEE:AEB64

今日はこのコースだけで終わりだ。

超キツかった。

もう山登りなんて御免だ、と思いつつビヤガーデンに向かったが、ここでビールを飲んだら最高の気分になった。

自信を持って言う。

ただここで飲み食いするよりも、絶対に山に入ってから飲み食いした方がいい。

「だから止められないEE:AEB80」とダンナは言ったが、このままじゃ、ビヤガーデンなしの山登りができなくなる予感である。