人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ウィッツィー、危うし

疑いたくない人を疑わなくてはならないのは辛い事だ。

こんなに気味の悪い思いをした事は、過去にない。

これは事件だ。

私は警察や探偵事務所も、視野に入れた。

気味が悪いと言えば、寝室のオバQの件にもケリはついていなかった。

あれから私は恐怖心を和らげるために、毎晩深酒して寝ていたのだ。

その甲斐あって布団に入るなり眠りにつくことができたが、それを聞いた上司グッティ氏は、「それじゃなんの解決にもなってないじゃないッスか!!」と強い口調で言った。

そしてネットで調べた「解決」の糸口を、いくつか教えてくれたのであった。

緑を置く。

音楽をかける。

大きな音を立てる。

窓を開ける。

いけないのは人形やぬいぐるみ。そして石。

そこに「入り」やすいそうである。

なるほど。分かった。酒に逃げずにできる事からやってみよう。

私は仕事の帰りに「真実の木」という観葉植物を買い、家に帰ると寝室の窓を開け、ぬいぐるみの類をとりあえず別の場所に移す事にした。

テディベア、豚、バンビ、クマ、アヒル、陶器の人形とニワトリ、犬。

この中のどれかに、バケちゃんが宿っているのかもしれない。

しかし捨てるのは無理だ。

みんな愛らしい顔をして、タンスの上に佇んでいた。

そう、彼らの仕事は「愛らしくある」なのである。

捨てられるような顔をしているものなど、ひとつもなかった。

まぁ誰かにあげるにしろどこかに移すにしろ、一度洗いたいね。ホコリだらけだ。

私は、中から洗えそうな布製のぬいぐるみとマスコットだけをまず選び出したのだが、アヒルのマスコットを手にしたときに、違和感があった。

「洗えない」、とっさにそう思った。

なぜならその小さなマスコットは、体の中に何かが入っていたからである。

柔らかいはずのマスコットが、硬いのだ。

力を入れて触ってみると、体内に小さな四角い箱のようなものが入っている感触がある。

機械?

私はアヒルの手足を握ってみたり頭を押してみたりしたが、どこにも反応しなかった。

他のぬいぐるみも押したり握ったりしてみたが、体の中が硬いのはこのアヒルだけであった。

何でこれだけが?

振ってみると、カタカタと軽い音が鳴った。

盗聴器・・・?

寒気がした。

しかし、誰がこんな真似を?

このマスコットは、娘ぶー子が誕生日にくれたものだ。

ぶー子が盗聴器を仕掛ける理由が分からないし、そんな事に使う金は持っていないはずである。

仮にあったとしても、盗聴器になど使わないだろう。

じゃあ誰かが後から?

業者を装って家に入り、盗聴器を仕掛けていく話を聞いた事があるが、ここは私の寝室である。他人は入らない。

じゃあ身内か?

・・・ダンナ??

理由が分からない。

浮気でも疑っているのか?

ああ見えて私にベタボレだなこりゃ。

しかし直接聞いたところで答えはしないだろうから、まず証拠を揃えないとである。

可愛いアヒルももう憎らしい盗聴器にしか見えず、私はこれをかっ裂く準備はできていた。

その前に、ネットで調べてみよう。

そこまでアヒルに可哀相な事をしなくても、分かる方法があるかもしれない。

「盗聴器 ぬいぐるみ」、検索。

おお、結構被害者いますね。

アヒル盗聴器説に、信憑性が出てくる。

しかし確かめる方法は、探偵事務所あたりに持ち込むか、自分で切って出すかであった。

盗聴発見器なるものもあるようだが、時間も金も惜しい。

次に私は、マスコットの方を検索してみた。

名前はSuzy's Zooの「ウィッツィー」と言うらしい。

アヒルをヒヨコで検索したので、ちょっと手こずってしまった。

以前ネタにしたが、何だか良くわからなかったのである。

そして私は偶然、これを売っているショップにたどりついたのである。

そこには大変な事が書かれていた。

ほんわかイラストで人気の「Suzy’s Zoo(スージー・ズー)」

いつも持ち歩きたいくらいかわいいキュートなアヒルの子、ウィッツィー。

手のひらにちょこんと乗るサイズです!

明るめの黄色でふさふさの毛並みがとっても愛らしいです♪

間違いない。

そのフサフサの愛らしい毛並みがホコリだらけだから、洗おうと思ったのだ。

このウィッツィーはただのマスコットではありません!

ウィッツィーが持っている白いふわふわの綿毛を引っ張ってください。

綿毛が元の場所に戻る間、ウィッツィーがブルブル!と震えます。

ぶるぶる動いているウィッツィーはとってもかわいいですよ♪

綿毛が元の場所に戻る間、ウィッツィーがブルブル!と震えます。

綿毛ってこれか?

私はウィッツィーちゃんが持っている白い玉を、引っ張ってみた。

するとそれはグイーッと手前に10センチ程まで伸びてきた。

そして手を離すとこのヒヨコアヒルはブルブルブルブルと音を立てて震え、玉が元の位置に戻ると止まった。

と、言う事でありました。

ハハハ。