「出発はなん・・、」
「6時。」
ダンナと声を揃えて言う。
脅しである。
それぐらい言わないと、娘ぶー子の朝は不安なのだ。
して自分が起きたのは8時半だ。
バッグを出しただけで何の支度もしていなかった。
昨日の夜、飲んでゲームをやっていた時間が惜しい。
そして、何の予定も立っていなかった。
食い放題のある安めの宿を選んだだけであり、場所にこだわりもなく、何をしたらいいのかが分からない。
辛うじて前日にガイドを買ったが、見ただけで予定はまっさらであった。
とりあえず出発したが、お馴染みのBGMバトルである。
ダンナはもうずいぶん前からこのようなバカバカしい争いから身を引いているが、私とぶー子とで選曲権を争うのである。
一応交代で、と決めてはいるが、「このMDは途中までしか録ってない」「つまらない曲は飛ばした」「フルコーラス聴いてない」などと自分は極力短い時間で聴いている事をアピールしあい、敵の時間の縮小を促すように精神的に追い詰めるのだ。
横川SAでトイレ休憩にしたのだが、トイレから出て行くと、ダンナがお菓子の出店の前で夢中になって何かを見ていた。
「ちょっと、よっぽど食べたいんだね。」と後ろからぶー子と近づいていくと、「ほんと凄いから。」と彼は振り向いた。
私達の様子に気付いた店員は、ダンナが感動した菓子作りをもう一度実演してみせてくれたのだが、これがホントに凄い。
最初は石鹸のような硬い塊なのだが、真ん中に穴を開けて延ばしていく。
それを二つに折って延ばして、折って延ばして・・・、を繰り返し、最終的には1万6千本。
シルクのようなツヤツヤの糸になってしまった。
その真ん中に餡(あんこではなく、雷おこしのような味のアーモンドっぽいもの)を入れて巻いていく。
出来上がり。
美しい。
菓子職人の技を見て菓子を買い、コーヒーを持って車に戻る。
もう高速を下りる時は近い。
地図を見ているダンナが危なっかしいので(我が家にナビはない。その代わり毎週ラーメンを食べているのである)、私がナビゲーションを引き受けた。
ダンナの言う方向を見てみたら、どうやらビーナスラインは通らない事がわかった。
ええっ!?蓼科と言ったらビーナスライン、むしろそれ以外にないと言う事をガイドブックで学んだばかりである。
「行かないの!?」と聞くと、まぁ行き先はまだ決まってないようなものだから、行きたいなら行きますけど、との返事である。
そう言われるとそれほど行きたい理由も見当たらないのだが、他に行きたい場所も行きたい理由も見当たらないので、、ビーナスラインを適当に走る事にした。
いやぁこれが。
国内有数のドライブコースと言われるだけあって、素晴らしい景観だった。
だいたい山の中とは木が鬱蒼と生えているものだが、ここは木が非常に少なく、まさに「高原」という感じである。
車山高原の休憩所で嫌っちゅーほど休憩し、あてどもなく先に進み、適当に引き返した。
それだけでも充分楽しく、宿に着いた時には食事の時間がもう迫っていた。
しかし、何としても風呂である。
酒を飲むのだから先に風呂に入っておかないと、面倒になって結局入らずに酔い潰れるか、風呂場で死ぬかである。
露天風呂ならぬ「野天風呂」というのがあったので、そっちに行ってみた。
この滝の湯という旅館は結構古臭かったのだが、野天風呂は後からできたようで、きれいであった。
しかし遠い(笑)
旅館の端まで延々歩き、スリッパをサンダルに履き替えて外を歩く。
それだけあって、いい雰囲気の風呂だった。
下を覗き込めば川が見える。
屋根のついた露天風呂である。
不覚にも「お風呂の王様」を思い出したが。
また、シャンプーリンス、洗顔、ピーリングジェルなども高級品を揃えてあり、結果長風呂になってしまった。
飲み放題もついているのだから、早く行かないと。
1杯でも多くの酒とメシをかっ込まなくては。
「ライバル達はもう揃ってますよ(笑)」
食堂まで案内してくれたスタッフが言った。
そう、これは戦いなのである。
品切れなんかされた日にゃ、悔やんでも悔やみきれない。
もちろん、そんな事は起こらなかった。
それよりも、案外胃袋と言うものは小さいものだと知った次第である。
これまでの食い放題の宿では、「種類は多くてジャンク品」という場所が多く、内容はあまり期待していなかった。
しかも「高原野菜バイキング」と書いてあったので、サラダバーの延長と冷凍品ぐらいに思っておけば、ダメージが少ないだろうと言い聞かせてきたのだ。
ところが予想を上回る、いい料理ばかりであった。
期間限定でステーキの食べ放題も含まれていたので、まずステーキを食いまくってから一緒に焼いていた豚ショー、との計画だったのだが、あっけなく一巡目のラインナップでお腹は膨らんでしまった。
豚ショー・・・。
こう見るとジャンクだが、手作り感があってなかなか美味しい。
向こうの小皿は、ビーフシチュー。
具は少ないけど、肉が柔らかい。
左の皿中央はうなぎの蒲焼、右の皿の右上は帆立のグラタン。
分かりにくいのだけ、解説。
ステーキとしては薄いが、レアに近く、柔らかくて美味しかった。
ピンボケ、すみません。
冷やしうどんは揚げ玉などの薬味も自由に入れられる。
おすすめの野菜。
左の生野菜は私のではありません(笑)
まるかじりトマトや大きく切ったきゅうり。
とても美味しいと言っておりました。
カルパッチョサラダは、ドレッシングもボリュームがあって良かった。
メロンは全部ぶー子。
何穀米だったか・・・(笑)
雑穀ご飯。
お腹一杯でも食べられる^^
ミネストローネと豚汁。
ミネストローネはパスタがふやけちゃってるのが残念。
苦しいのについ食べちゃう豚汁。
デザートとおやき(笑)
おやき、食べたかったのだEE:AE5B1
ミニサイズだったので、つい。
デザートは他にもあったが、興味がないのでパス。
酒は、ビールと焼酎とワインだけだが、これでもないよりは全然いい。
だいたいの食い放題の宿は、飲み放題は別料金になっているのだ。
しかしそのせいで腹がパムパムに膨らんでしまい、苦しいわ、心残りだわ・・・、また来て続きをやってやる!!という気持ちである。
部屋に戻ると布団が敷いてあり、苦しいのですぐに横になった。
そのまま私もダンナも、「せっかく来たんだからさぁー。」と9時半にぶー子に起こされるまで寝ていた。
そうだ。最近このパターンが多い。
食べ過ぎて撃沈なんて、もったいない話である。
で、何をしたかと言えば、ゲームコーナーでメダルゲームである(笑)
最初はそれらしく卓球でもしようと言っていたのだが、もう時間が遅くなってしまったので、内容を厳選したい。
で、メダルゲームかよ、って話だが、実は自分は初めてであった。
つくづくギャンブルに向いてないと思うのだが、「もうちょっと」「もうちょっと」と、1500円分もつぎ込んでしまった。
ところでここのスタッフがまた気持ちの良いお兄ちゃんで、両替に行ったときにはオマケしてくれたり、分けてくれたりサービスしてくれた。
楽しかった。
メダルゲーム、楽しかった。
もうやらない。
破産する。
部屋に戻ったらまたゲームになるのだが、その前にジェンガで家族旅行らしく。
そこで面白い発見。
ジェンガは、組まれた木の棒を1本引き抜いては上に乗せるだけのシンプルなゲームである。
崩すと負けなのだが、だんだん安定感を失っていくので、時間が経つほどに緊張感が増していく。
棒を引く手もゆっくり慎重になるのだが、緊張のあまりにくだらない事がおかしく感じ、笑いのハードルが下がっていくのである。
しかも緊張するのは棒を引いている人ひとりであり、周りは自分の番ではないので無責任にくだらない事を言う。
緊張感のギャップで、不思議な笑いの世界が創り上げられるのである。
私は「シュビドゥバ」「ダルビッシュ」「ダルビッシュ有」がツボッた。
プレステに移行する頃には、結構眠くなっていた。
今回はBGMの準備に力を入れすぎたので、ソフトの選択が適当だったこともある。
一番最初に寝ていた。
朝もバイキングであった。
ムチャクチャ素晴らしいラインナップだったのだが、前日に詰め込みすぎた晩御飯がまだお腹に一杯詰まっているようで、全然食欲がなかった。
こちらも心残りである。
しかしもう一度行ったところで同じ失敗をしないで帰れるだろうか。
あまり自信はない。
やはり翌日の予定もまっさらだったが、前日通った八島湿原というところが気になったので、そこへ。
しかしぶー子が「おしっこー」「おしっこー」と泣くので、早めのリターン。
ぶー子のおしっこのために入った、霧が峰の休憩所。
ここでお土産を買ったりとうもろこしをたべたりじゃがバタを食べたりしたので、時間がなくなり、東京に戻る事にした。
今思い出したが、私が湿原に行きたいと言う前に、ダンナとぶー子は白樺湖に行ってスワンを漕ぎたいと言っていたのだった。
忘れとった。
ごめんちゃい。
談合坂のSAでトイレ休憩に寄ったのだが、全く、トイレだけで帰ってきたためしがない。
野菜の直売をやっていたので、アホほど買った。
バカみたいに大きくて、バカみたいに安いのだ。アホほど買う。
ついでにラーメンでも食べるか、と言ったら、「こんなところで並んで適当なラーメン食べるよりも、地元で美味しいラーメン食べたほうがいいでしょ!!」とぶー子に怒られ地元に戻ったが、ぶー子は食べずに待っていた。
単に早く戻りたかっただけの疑惑。
食い損なった「適当なラーメン」が心残りである。
実は私は、観光とか自然とかのアウトドアは嫌いであった。
独身の頃は旅行の時、ひとりで部屋や車で待っていることも多く、友達と一緒にいる以外の楽しみを見出す事はできないでいた。
これは年齢のせいなのか環境のせいなのかわからないが、今ではアウトドア、バーベキューが好きになっている。
今回の蓼科の自然には、本当に感動した。
できればハイキングをしたかったが、時間が足りなかったのだ。
また行きたい。
何度でも行って、地味な蓼科を極めたいEE:AEAAB