人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

そのレッテル、もらった!!

[ネトゲ廃人]

一般的に廃人とは身体的、精神的疾患により普通の生活を送れなくなった人、社会不適合者の事を指しますが、廃人という言葉はネットゲーム内でもよく使われています。MMOでは高レベルプレイヤーを指すときにも廃人と呼びますが、元々ネットゲームにはまり過ぎてゲームから抜け出せなくなり、会社の無断欠勤、不登校、失業、引きこもりなど現実生活に支障をきたすようになった人を指します。 (廃人類参照)

ふざけて自らを「廃人」という事はあるが、実は本気で自分の事をネトゲ廃人だと思った事はない。

私は仕事にも行くし、家事だってやる時はやる。

やらない時が多いのは眠いからであって、ゲームに時間を割かれている訳ではないのだ。

参考までに普段のプレイ時間をいうと、だいたい夜の11時前後から12時半前後までである。

可愛いものだろう。

とは言え、廃人化に傾いた時期も、あるにはあった。

その頃は2時前後までプレイしていたので、翌日に響いていた。

仕事は午後からだったから影響はなかったが、午前中まともに起きていられず、家事の時間が激減してしまったのだ。

結果、家の中が荒れる。

具体的に言うと、片付かない、ご飯が手抜きか惣菜になる。

良くある廃人論でも言われているが、ネットゲームから抜け出しにくくなる原因は、ネット上の人間関係にある。

酷くなると「自分が寝てしまうと戦力が減り、この人たちが困ってしまう」という理由で抜けられないようだが、そこまでひどくはなくても「じゃ、寝ます、お先に」とはなかなか言い出しにくい場面が多いのだ。

私なんかは全く戦力にならないほど弱いのだが、逆に「こんなに手伝ってもらってサッサと抜けにくい」という状況であった。

会社の仲間にならサラッと言えるが、これがネット上で知り合った人にはなかなか言えないものなのである。

そんなんで、一時期は連日2時、3時までプレイしていたが、さすがに疲れ、オフライン表示でコソコソとプレイすることで極力彼らとの接触を減らし、会社の仲間とだけプレイして早めに切り上げるようにした。

そもそもネット上で知り合った人たちは、私は子持ちの40女であることを知らないのだ。

騙すつもりはなかったが、今さらそれも言いにくい。

なので後ろめたさも限界に来ていたのだった。

平日の深酒も減り、夜は早めに布団に入って「銀魂」を読んで寝た。

料理の本がキッチンに並び、夜になるとガスコンロを磨いた。

順調だ。

ゲームとの付き合いは、かくあるべきである。

ところでネトゲ界はまた、入魂祭という運動会のようなイベントが催されている。

だいたい月に1度ほどのイベントだが、倒したモンスターに対してポイントがつき、そのポイントを全プレイヤーが二手に分かれて競うのである。

ポイントは入れれば入れるほど見返りも大きくなるが、私はこれまでそれほど熱心に参加はしていなかった。

頑張っても弱いのであまり稼げないし、少ない見返りでも満足できていたからだ。

ところが、今回の入魂祭はいつもと違った。

この頃めっきり集まらなくなっていた会社の仲間達が次々と現れて、高得点を狙い始めたのだ。

ただモンスターを倒すだけではダメだ。

1日に3回、負けている組に配信される秘密のクエストを見つけだし、制限時間いっぱいそのクエストを繰り返すのである。

秘密のクエストを見つけるにはコツがいるので私は今までほとんどやった事がなかったが、今回その見つけ方がわかってきたのだ。

やってみると、面白いようにガッポガッポ点数が入る。

私は仲間内でトップに躍り出た。常にケタ違いでトップを独走していた人物を抜かして。

それを知った彼は、「あっという間に抜き返すさ!」と本当にすぐに抜き返したので私も黙ってはおれず、疎遠だったゲーム上の友達と合流し遅くまでプレイ、そして次の秘密のクエストを狙った。

その繰り返しだが、今朝のシークレットクエストは朝の7時から2時間である。

「じゃあ行ってきます・・・。」

昨日から風邪を引いて体調を崩しているダンナは、自分でお茶漬けを作り、誰にも見送られずに出かけていった。

私は7時からコントローラーを握り、モニターを睨み続けていた。

廃人のレッテル、貰います。

こんなことしてちゃいけないと思うのだが、あと3日である。

期間限定なのだ。

今回は仲間内でトップを狙えるのだ。

今回だけでいい。

廃人のレッテル、もらいます。