何ヶ月ぶりか?
自分でも危うく忘れてしまうところであった。恐怖の歯医者。
「痛みがなくなったら連絡ください」と言われていたが、痛みはなくならなかったので連絡しなかった。
連絡しないで放置したので、痛みもなくならなかった。
まだ治療は途中である。
行かないことには終わらないという現実から逃げ、やっと我に返るも今度は仕事が忙しくてなかなか予約が取れず、とうとうこんなに時間が開いてしまった。
超、気が重い。
まだ痛いから「まだ痛い」と言わなくてはならないが、もう先生のリアクションが今から想像できるのだ。
そして実際先生のリアクションは、想像通りのものであった。
「えー?もうね、痛み取れないなら抜くしかないよ。だったらもう先に進んじゃおう。」
・・・わかる。
私は、自分に向けられたネガティブな感情には敏感なのだ。
「いい加減にしてくれ」という空気が伝わってくる。
もうどうにでもしてくれ。
抜きたきゃ抜けEE:AEB87
被せたきゃ被せEE:AEB87
ただ私は、痛いものを痛くないとは言わんぜよ。
現状、痛いぜよ。
みんなを悩ませている私の歯の状態は、簡単に言うとこんな感じである。
1・虫歯を治療中で、
2・神経を取ったが、
3・消えていいはずの痛みが消えないので、
4・次の段階に入れない。
前回もそうだったが、圧倒的に3、4の期間が長く、みんなウンザリしている状態だ。
痛みの原因は神経の先か歯茎かと言っているが、どっちもグレーである。
とりあえず今日は歯茎の掃除だけにして、次回いよいよクライマックス見逃すなよ、という事になったが、実は歯医者をサボッている間に、新たな問題が発生していた。
痛いのだ、
猛烈に、
別の歯が。
「あのー、実はですね、歯が痛いんですけど。」
「!?」
助手である奥様は、笑わなかった。
しかし私は、痛いものを痛くないとは言わんぜよ・・・。
現状、痛いぜよ・・・。
これは、何となく原因は分かっていた。
以前も違う歯で同じことが起こったからだ。
恐らく知覚過敏。
痛くて歯ブラシも当てられなかったのだが、知覚過敏用の歯磨き粉「シュミテクト」で、歯磨き時の痛みは激減していた。
「・・・という訳で、また知覚過敏だと思ってアレを使ったら、えっと、」
「シュミテクト!!」
奥様は、おぞましい物でも見たように、先回りして言った。
「そうですそうです、よく分かりましたね。あれ使ったら痛みが消えて・・・。」
「ダメです、ダメ!!シュミテクトはダメです!!」
え?
私はあれによって痛みのない歯磨き世界に戻る事ができ、今ではネットサーフィンをしながらシュミテクるのが毎夜の慣わしとなっていた。
それを・・・。
「あれには研磨剤が入ってるから、一時良くなっても後からどんどん悪くなります。」
研磨剤。
以前にも「歯磨き粉には研磨剤が入っているので、ぽ子さんのような磨き方をする人はエナメル質が削られてしまう」と言われた事がある。
だからその後はモンダミンを歯磨き粉代わりにしていたのだが、シュミテクト、ダメですかぁ・・・。
でもあれがないと痛くて磨けない。
「はい、じゃあアレを塗ってあげますから、これからは『素』で磨いて下さいね。」
奥様はそう言って、「まず表面の汚れを取ります」と電動ブラシのようなもので患部を磨いた。
シュミなしである。
むき出しの神経を電動ブラシで磨き上げるような痛み。
私はヒーと言って体を横に90度よじらせた。ん?180度か?
「ちょっと風当てますから、頑張って。」
頑張って、って頑張らなきゃならないほど痛い目に、ヒー!!
乾かす必要があるのか、ノズルの先から神経むき出しの歯に冷風が吹きつけられる。
それからやっと「アレ」なるものを時間をかけて歯に塗り込んで、今日の治療は終わった。
もう何でこんなに歯医者は痛くて辛いのか?
頑張って歯も磨いてるし、歯間ブラシも糸ようじも使ってるのに、なんで歯のメンテをちゃんとしてない奴らがのうのうとしてられるんだ??
私は毎度歯医者に来るたびに、本気で思う。
「なんでこんな目に。」
歯医者、再開である。