人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

戦いのあと

「食べる」ということは、単に腹を満たすだけではない。

私たちは人間である。

そして幸い、食を楽しむだけの余裕がある。

「美味しく食べたい」という意味も、そこには含まれているのだ。

しかし私は、時々それを忘れてしまう。

忘れてしまい、痛い目にあうのだ。

「食」はスポーツではないのだ。

それなのに、なぜつい挑戦してしまうのだろう?

ラーメン二郎。

ラーメンが好きな人なら良く知っているだろう、簡単に言うとデカ盛りの店である。

しかし単に量が多いだけではなく美味しいので、どの店もいつも行列である。

一度食べるともう当分いいかと思うのだが、やはりまたフラフラと出向いてしまう、不思議な魅力のある店だ。

「そろそろ二郎、食えるな。」

そのインパクトから、食べたいと言うだけで挑む訳には行かない。

「食べられる」というコンディションが必須なのである。

幸い寝坊した私も昨日の夜から食べてなかったし、じゃあ近所の二郎に行くかという事になった。

20人近い行列の全員が男であった。

以前2chで「女はラーメン屋に来るな!」というスレッドを見た事があるが、そこではラーメン女がケチョンケチョンにけなされていた。

中でも二郎に来る女は最悪で、邪魔、ドン引きなどひどい言われようであった。

「・・・・・・・・。」

道路に顔を背けるように、ひっそりと列に加わった。

何だよ、並んでる男も典型的なブヨブヨのラオタじゃないか、こっちの方がよほど気持ち悪いと思うが、まぁ目クソ鼻クソである。

すみません、チャチャッと食べますので、ちょっとここ、入れてくださいね。

「『麺の量は減らせます』って書いてあるよ。」ダンナがこっちを見てニヤリと笑う。

量が多いのは承知である。

毎度苦しくなって後悔するのだが、分かっていながらも毎度普通の量を頼んでしまう。

この時点で「食」を「スポーツ」としてしまっているのだ。

「二郎に来て量を減らすなんて」という、おかしなプライド。

そんなんだから女は来るな、と言われるのだ。

食いきったら食いきったで「キモい」と言われるのだが、私は負けたくなかったのだ、二郎と言うラーメンに、なんじゃあそりゃー!!

「・・・・・・・・・。」

しかし、出てきたラーメンを見て、ヒクッとなった。

この丼、この量。

人間の胃袋って、こんなに入るのか??

案ずるなぽ子よ、何度も食ってるじゃないか。

考えるな、考える暇があったら咀嚼するのだ~~!!

コツはガンガン食べる、それだけである。

味わうな、がっつくのだ。

ムハムハと音を立てるようにむしゃぶりつく。

あぁこれだから女は二郎に来ちゃいけないんだ。2chのネタにしないでね。

くそー、上の野菜が重くて、下の麺がビクともしない。

よっ、こら、せ、タイムロスになってしまう。

「あ~、うまい」と無心に食べられたのは、ほんの半分程度であった。

なんか苦しくなってきたぞ、と感じたが、まだまだ普通のラーメン1杯分は残っている。

「麺、半分でお願いしますEE:AE48B」あ、テメー、ずりーぞ、この女!!

後から来た綺麗な女性は麺を半分、ニンニクは抜きで、と注文していた。

だから女はダメなんだ、なんちゃって、実はアンタがちょっと羨ましい。

食事の量のコントロールもできないサルである、私は。

くそっ、止まるな、腹が膨らんでしまう。

それにしても減らないラーメンだ。

細胞分裂のように、絶え間なく増えているのかと思う程である。

ならばその分裂よりも早く食べるのみである。

く、苦しい。ごめんなさい、サル、苦しいです~~~~!!

昔、電波少年でドロンズか何かがわんこ蕎麦を食べ過ぎてその場で吐いたが、私もああなるのだろうか。

限界とは嘔吐なのか。

ここで、ここで私が吐く(泣)

いやー!!でも残すのもいやー!!

私はこの間読んだマンガの事を考えた。

銀魂のヘドロさんの話は、本当に面白かった。

ラーメンは、ヘドロ空想のついでに食べるようにする。すると長い道のりも、短く感じるのである。

虐待を受けている子供は親から暴力を受ける時に、幸せな空想をするそうである。

現実を受け入れずに逃げる、自分が生きていくための手段である。

こんな現実は嘘なのだ、とファンタジックな「嘘」の世界に逃げるのだ。

ぽ子も逃げたのである(泣)

面白い事に、効果はあった。

虐待児、凄いぞ。

私もラーメンの虐待から解放されたのである。ん??

それから数時間は、「苦しい」という言葉の繰り返しであった。

ゲップをすると楽になるような気がしたが、胃袋で熟成されてより一層臭いがパワーアップされたニンニクブレスが放出されるだけだった。

味が濃かったのか脂が効いたのか、とにかく喉が渇く。

そこでウーロン茶を飲むのだが、その繰り返しでいつまで経っても腹に隙間ができない。

「苦しい」はやがて「痛い」に変わる。

家に着いてソファに座った途端に寝ていた。

その間だけは苦痛から開放されたが、起きてみてもまだ腹は苦しかった。

ぽ子は誓う。

もう二郎は減らして食べる。

それが来年の抱負である。

そう言えばそれで思い出した今年の抱負「良く噛んで食べましょう」だが、すっかり忘れていた。

いつかまた食べちゃうのかな??

あぁもう、サル卒業したいEE:AEB64