もう長い事封印していたスイッチである。
こう言うのも何だが、私は人を罵倒したり揚げ足を取ったりケチョンケチョンに言い負かしたりするのには自信がある。
ただ、あまりよろしい事ではないので、封印しているだけなのだ。
怒りというものは、自分に何もいいものをもたらさない。
いらぬ武器なのである。
しかし、武器というからには使い道があるのだ。
今日、私は、そのスイッチのカバーを外した。
ゴクッ。
これを押したら最後、自分でも制御できる自信はない。
ネトゲのために新しいパソコンを買ったのは、8月のことであった。
それに合わせてフルハイビジョンのモニターも、ネットで購入した。
これで、新しいパソコン1台で2つのモニターを使い、ふたりでゲームができるはずであった。
これを「多重起動」という。
なぜ多重起動をさせる必要があったかというと、もともと家にあった方のパソコンの調子が悪く、修理に出したかったのである。
しかし、そうなるとふたりでゲームができない、そこで多重起動となったのだ。
ところがこのモニターが不具合を起こし、ちゃんと作動しない。
メーカーも「見てみないと分からない」というので送り返したが、やがてまた同じモニターが我が家に届いた。
しかしこれも同じ症状が出て、多重起動できないのだ。
再びサポートセンターにダンナが問い合わせたが、そうなるとまた新しいのを使っても同じ症状が出るかもしれない、と言われたそうだ。
「返品できないの?」
「モニター買ったAMAZONに言ってくれ、って言うんだけど、返品は30日以内なんだって。」
はぁ??
買った、使えない、送り返し、もっかい来て、使えない、それで30日過ぎたのである。
ちゃんと使えた日もあったが、たったの1度である。
使わない日もあったが、返品可能期間を想定して毎日不具合が出るか試せと言うのか。
「むー。分かった。」
この時私のスイッチのカバーが外されたのである。
返品できないなら、このまま不具合の出るモニターを使うか、不具合の出る可能性がありますよと前置きされた同じものをもう1度使うということである。
冗談じゃない。
使えないモニターなどいらないし、何度も不具合品を行き来させるのも御免だ。
第一、送料はこっち持ちである。
前回、二千なんぼも払ったのだ。
それに、二度目にモニターを寄こした時には、どこを修理したとか新しいものを送りましたとか、そういう説明も何もなく、物だけドーン、であった。
不具合の原因すら分からずじまいである。
サポートセンターで電話を受けたのは、感じのいい女性であった。
私はまず、こういう事で昨日主人が電話してますが、AMAZONの返品可能期間が過ぎていて、と普通に言った。
別に怒りたい訳ではないのだ。
ちゃんとした対応をしてくれればそれでいいのである。
「それではこちらでお受けします。少々お待ちください。」
そう言って、かなり待たされた。嫌な予感。
そこからは、返品・返金はできないの一点張りである。
「うちとしましては、そういった対応ができないので、申し訳ありません」
そればかりでラチが開かない。
じゃあこの不具合の出ているモニターはどうすれば、と言うと、取り替えるのでまた送り返せと。
昨日「また不具合が出るかもしれません」と言われているのだ。
それならもういらない、っつー話である。
と言うか、「不具合出るかもしれませんが」と言って同じものをよこすしかできないとは、あまりにも誠意が見えないではないか。
「じゃあまた不具合が出たらどうするんですか?」
「そうならないように、きちんと検査をしたものを充分に気をつけて送りますので・・・。」
だあっ!!もうっ!!
きちんと検査して充分に気をつけたものを、これまで送ってこなかったのか!!・・・と言い返してやりたくなったが、もう何を言っても無駄なのは分かった。
この人は、単なる窓口なのである。
「返品も返金もダメ」と言われていれば、それ以外の答えを持たないだろう。
しかし、私の訴えも窓口に言うしかないのだ。
とにかく困る。
現におとといからダンナとクエストに出てなくてよ~~~!!EE:AE473
ねばった。
私も折れなかった。
クソッ、そろそろフェーズ5に切り替えるか、てめえ、これは反抗期以来の5だぞ。
「じゃあ不具合出るたびに高い送料払って交換するんですか!!」
「いえ、ですからこちらとしましてはきちんと検査して充分に気をつけて・・・。」
「じゃあ次は大丈夫ですね!!」まだギリギリ、フェーズ4的イジワルである。
「は、こちらとしてはきちんと検査して・・・。」
「次も不具合が出たら、交換ですかッ。モニターない間も(ネットゲームのモンスターハンターフロンティアにダンナと一緒に出れなくて)困るんですけど!!」
「は、あの、そうしましたら改めてこちらで提案をさせていただき・・・。」
お。
やっと進展した。
どうもおねーちゃんが追い詰められてポロッと言った感もあるが、「じゃあ次不具合が出たら、違った方向に考えてもらえると約束していただけるんですね!?」
その尻尾、逃すかッ。
失言ならその失言、有難くもらうっ!!
おねーちゃんはしどろもどろながらも、「提案」という言葉をもう一度言ったので、フン、分かった、じゃあ今回はまたそっちに送る。
ただし着払いだ。
おねーちゃんは「そんな・・・」というような悲しげな沈黙を発信したが、送料だけで前回と合わせて5千円近く払う事になるなんて、ざけんじゃねー、こちとら日給およそ4300円じゃい!!
しばらくしたら、FAXが来た。
着払いでこちらに送って下さいとの事だ。
フー、疲れた。
終わってから言うのも何だが、本当にモニターの不具合なんだろうねぇ。
多重起動させるのにてこずってたダンナを思い出すと、不安がないわけでもない。