職場の仲間とやる時は、求人区に集まることが多い。
なので私はずっと、求人区とは「4人貸し切り部屋」だと思っていたのだが、その間違いにやっと気づいたのだった。
「ぽ子さ~~ん、もんばんみ~~^^」
もんばんみ、と挨拶するのはわが部署の新しい主任、若きグッティ氏である。
「ココ」と呼ばれて飛んだ先はいつもの求人区。
しかしその日は、知らない人が2人いたのだった。
つまり、正しい「求人区」としての使い方をしていたのだ。
「はじめまして!」
いつも猟団チャットになっているので、最初の挨拶さえままならない。
やっとコミュニケーションをとってみて分かったことは、グッティ氏を含む私以外はずっとランクの高いベテランばかりということだ。
つまり自分が足手まといであることはクエに出る前から明らかであり、正直、気が引けたのだったが、
「ではぽ子さんのランク上げをしましょう!」
初めて会った「D君」はそう言ってくれた。
しかし選ばれたクエはクシャルダオラである。
初めてだったが、それが強そうなことは簡単に想像できた。
足手まといは目に見えていたので行きたくなかったのだが、彼らはサッサとクエをとってきてしまった。
仕方なく「2死したら応援に回ります」と宣言して出たが、結果から言うと、役に立たなかった代わりに死にもしなかった。
なので、繰り返しクシャ狩りに出て、ランクを上げることができた。
総じてオンライン上で知り合った人は優しい。
私が下手クソの下位のエクストラでないことを知ると、Dくんは回復Gを計50個と閃光玉もくれた。
彼は私がマイハウスにもらった回復Gを置いて出てくると、もう次の回復Gを手に出口で待っていた。
この時Dくんと一緒に知り合ったAさんも、こんがり肉Gをくれたし、一応上司グッティ氏の名誉のために言うと、最初にくれたのは彼なのだが、もうぽ子はリアルの世界に戻りたくなくなる程、感激した。
フレンド登録をして別れたが、Dくんとはその後も繋がっている。
「困ったらいつでも呼んでね、カワイ子ちゃん」と言われたが、それによって私は自分の正体を絶対彼には明かせない事を悟った。
なので「その時は頼むね、ダーリン♪」と返しておいたが。
ところで、もちろんクシャを相手に全勝できた訳ではない。
1度死んだら弁当効果がなくなりすぐに2死、そこで宣言したとおりに応援に回ったのだが、岩場であぐらをかいてノンビリ見ていたら、いきなりヤツがこっちに突進してきたのだ。
あっという間に突っ込まれて死んだ。3死。
「クシャ、ふたりじゃ無理ですかぁ??」
翌日上司アンガと合流して言ってみたが、寄生で自分の実力がすっかり分からなくなっていた。
無理だというのでショウグンギザミにしたのだが、何度やってもダメだった。
まだまだである。
自分の力をもっと磨かないといけない。