午前1時30分。
私はやっとゲームのコントローラーを置いた。
私は心身共にネットゲームに侵されつつあり、眠る寸前までデカいゴリラを倒した感動に浸り、目を覚ましては「ああ、ゴリラを倒したんだっけ」などと考えている。
1時半ならまだ早い方だが、平日である。
私は翌日が休みとなっていたが、オンラインで一緒に戦った仲間には仕事が待っているのだ。
まぁ酒も抜けたし、本でも読んで寝るか、と席を立った。
ところが、パソコンの前に置いてあったコーヒーカップを流しに持っていた途端に、現実が押し寄せてきた。
流しには洗い物が乱雑に突っ込んであったのだ。
・・・忘れておった・・・。
いくら皿洗い機があると言っても、大きな皿や鍋類は入らない。
私はまず流しから一度鍋とフライパンを取り出してから、下に埋もれていた皿を食器洗い機に入れていった。
これだけなら大したダメージはないのだが、鍋やフライパンを洗う行為はかなり滅入る。
でかい鍋。
油っこいフライパン。
そして、あっ、あー・・・。
炊飯ジャーの内釜。
ご飯、炊かなきゃないじゃん。
何度も書いているが、米研ぎは私の嫌いな家事ベスト3に入る、お仕置き的なものである。
イモヅル式に、朝ご飯を作らなくてはならない事を思い出した。
朝作ったって悪くはないのだが、ちょっと手間がかかるので、作ってから寝ようと思っていたのだった。
くそっ、くそっ。
私はさっきまで、モニターの向こうで大きなモンスターと戦っていた戦士だったのだ。
それが何で今、こんな・・・。
やらないと明日の朝地獄を見るので、観念して着手した。
米、研ぐ。
そして・・・、
肉に塩こしょうをして、フライパンでレアに焼く。
その間にトマトを細かく切り、酢、サラダ油、しょうゆ、粒マスタードを良く混ぜたドレッシングに混ぜる。
レアに焼いたステーキ用の肉をそれを合わせる。
以上。
難しいものではないが、全部終ってベッドに向かったのは2時半である。
そして、睡眠薬代わりに本を読む。
もう時間がないから文字のないもの。
「世界の家」という写真集である。
本当にただ家だけがひたすら載っている。
こんなものにときめく人間がどれ程いるのかは分からないが、必ずどこかにいるのだ。
だからこんな本を作る人間がいて、こんな本を買う人間がいる。
昔、和田ラジオという短編マンガを描く人が、「月刊電柱」という本を読んでいる人の話を載せていたが、そんなものである。世界の家。
お陰で良く眠れた。
しかし結局今日も二度寝するのだが。