人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ふたつの知らせ

休日だ。

特に用事はなかったのだが、仕事が暇なので有給をとった。

もったいないので買い物にでも行くつもりだったのだが、実家の母と娘ぶー子の送り迎えをする事になったので家を空けられなくなった。

だったらもう今日は潰すつもりで、昨夜も飲んで夜更かしコースだ。

その甲斐あって寝坊し、急いでダイニングに向かうともうダンナはひとりでご飯を食べていた。

あまりに眠いので「すみません」とペコペコ謝ってすぐに布団に戻ってしまった。

その後は12時過ぎまでノンストップ睡眠である。

ぶー子に「服がない」と起こされたのは12時10分だったが、送り届ける出発時間は12時40分であった。

服どころじゃないっ、飛び起きて支度して、12時40分に実家の母を拾って車で送る。

しかし眠い。

ハンパな眠さじゃない。

事故を起こさずに家まで帰る自信すらなかった。

目に映っているものは誰かの撮った動画のようだ。

なので家についてご飯を食べると、すぐにソファに横になった。

迎えは4時30分。

ちなみに昼飯はマックのチーズバーガーとインスタントラーメンである。

せっかくの休日なのでちょっとスペシャルである。

母とぶー子を迎えに行った帰りに実家に寄り、お茶を飲みながらダラダラ過ごしてしまった。

もう本当に今日は潰れた。

何にもしてないじゃん。

なのに食べたものだけスペシャルだ。しかもしょうもないスペシャル。

晩ご飯の支度もしてないので、帰りにスーパーに寄る。

晩ご飯は菜の花の辛し和えと煮物とかぼちゃのサラダとたこ焼きである。ちなみにこれはスペシャルとは言わない。

車に戻ると携帯の事を思い出した。

もしかしたらダンナからメールが来てるかもしれない。

携帯を手にするとぶー子が「ちょっと、急いで帰りたいから、メール私が読んであげるっ。早く車出して!!」と突然言い出した。

彼女もずっと誰かとメールのやりとりをしていたが、何かあったらしい。

はいはい、よっこいしょ。

シートベルトをしめ、エンジンをかける。

「ぽ子さんへ。矢部さんって人から。」

矢部さん。会社のパート仲間だ。珍しいな。ブルルン、エンジンがかかる。

「急な事ですが、今日、辞表を出しました。」

辞表?急なことですね。ハンドルに手をかける。

ん?

は??

辞表!!??

「ぽ子さんとは・・・・・・後のことは宜しく・・・、う?」

「矢部さんが、矢部さんが、」

「いいから早く車を・・・。」

「う、う、・・・。」

「車・・・。」

「うわあああああ~~~~ん!!!」

「はあ?!」

「ああああああああ~~~~!!」

「もう車、はぁ?!げ、マジで泣いてる!!」

泣いたって事態は変わらないのだが、心を落ち着けて次のステップに移る助けになることはある。

自分でも驚いたが、私は本当に悲しかった。

私の部署のパートのメンバーは、増えた事はあっても減るのは私にはこれが初めてだ。

仕事が減ってみんな困ってはいたが、まさかこんなに早くこんな日が来るなんて。

「うああああ(泣)」

「ハイハイハイ、まだ明日があるんでしょ、はいはい、ガン泣きだなこりゃ。」

「あああああ(泣)」

「・・・で、くるまを・・・。」

何としても早く家に帰りたいぶー子が焦っているのが、泣きながらも実はおかしかった。

悲しい気持ちで家に着いたが、ポストを覗くと私宛てにハガキが来ていた。

ひっくり返すと「結婚しました」と写真入のお知らせであった。

銀ちゃんだ!!

先日久しぶりに銀ちゃんからメールが来て、住所と名前をフルネームで教えろといきなり言うので、振り込めサギかと疑っていたのだが、そういういことだったのだ。

悲しい知らせもあったが、嬉しい知らせもあった。

私もいい加減、流されるままに生きるのは止めて、彼らのように前進したくなった。