血液検査の予約が入っていた。
仕事の途中に抜ける事になるが、病院は近所である。
家と職場の間ぐらいだ。
しかし私は迷っていた。
血液検査するほど酷い状態には思えなくなってきたのだ。
昨日までは糖尿病か、それでなければもっと重大な病気のはずだったのだが。
相変わらずあまり調子は良くないが、検査があると思うとそれも大した事がないように思えてくる。
この程度なら時々あるような気もする。
なんで今回に限ってこんなに大ごとにしてしまったのだろう?
予約は10時だ。
9時から仕事だったが、迷う。
迷った末、この具合の悪さは「単なる不摂生からくる体調の崩れ」と病名をつけてやった。
検査は電話して中止だ。
何だかホッとしたが、今度は体調が心配になってくる。
もしかして本当に大きな病気が隠れているかもしれない。
こんなに早く前兆を捉えることができたのに、チャンスを生かさないのか。
病気は少しずつ進行していくはずである。
ジワジワと・・・。
ダルさが蘇ってきた。
そういえば息苦しい。
そうだ、このところずっと感じていたこの不快感は「息苦しさ」じゃないか。
こ、これは糖尿なんかじゃない、心臓だ!!
私は本気でビビッて、早速検査をキャンセルした事を後悔した。
先生はプロなのだ。
こうやって検査を延ばし延ばにして無駄に命を縮めている人間を、何人も見てきたのだ。
だからあんな風に「早く」と強く勧めたのだ。
しかし「単なる不摂生からくる体調の崩れ」のセンもまだ濃い。
様子を見るのだ。
月曜。
体調を崩したぐらいなら、いい加減月曜にはだいぶ良くなっているだろう。
これはキャンセルではないのだ、延期なのだ・・・。
そう言い聞かせて乗り切った。
そして現在22時。
すこぶる元気である。
依然、渇いてはいるが。
歯医者である。
神経の治療に手こずっていて、また先にに進めなくなってしまった。
どうやら、奥の方が複雑な構造になってしまってるらしい。
今日は5分。薬を取り替えただけであった。とにかく痛むのだ。
しかし、たったの5分で終ってしまったので、ダンナとの待ち合わせまで時間が余ってしまった。
カレーのHUGEは閉店してしまったし(涙)、西荻にはやることがない。
で、先に行ってしまったのだが、銀座である。異国であった・・・。
ショッピングでもしながら時間をつぶそうと思っていたが、冗談じゃない、入れる店がないのだ。
ブランドショップばかりである。
どこを見ても高そうで入れない。
しかし、こんな人ごみで歩みを止める訳にもいかない。
そこへユニクロが目に入った。
助かった、庶民の味方、ユニクロ。
私は、地味で無難な服をあたかもお洒落な服のように大量生産しているユニクロが嫌いであったが、今日は救世主である。
「B1の出口から行くよ」
ダンナからメールが来た。
B1って(泣)
こっちはもう外に出ているのである。
しかしユニクロなんかに長居はしたくないので、ひとつずつ地下鉄のB1出口を探して歩く事にした。
最初に見つけた出口はA3であった。
B1は遠そうである。
A2、A1、A6、しまいにはA10で途方に暮れていたら、メールが再び届いた。
「今どこ?」
どこも何も、私もダンナも銀座の目印などわからないのだ。
銀座には何があるのだッ。
ハチ公置いとけッッ。
「ディオールとグッチ・・・。」
とりあえず目についた店名を送ったが、役に立たない前提である。
なので「A10出口付近・・・。」と付け加えた。
程なくしてダンナから電話が掛かってきた。
「どこにいるの?A10の出口?ああ、いたいた・・・。」
A10出口の方を見ると、ダンナがこっちに向かってくるところであった。
助かった。
携帯がなければ私達は出会えなかったかもしれない。
それは困る。カレーが食べられない。
まぁ何とかダンナには会えたしカレーも食べたし、体調もいいのでいつもの金曜のように飲んでいる。
明日は美容院なので深酒したくないのだが。