人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

家事ピアノギター×、ゲーム○

やっちまった、寝たときの記憶がない、もう飲めない、今夜は飲めない、勘弁してつかぁさい。

なので、起きるなり腹が減っていた。

ぽ子は二日酔いだとやたらと腹が減るのである。

アルコールを分解するためにフル稼働させられた器官が、エネルギー分を欲しているのではないかと考える。

で、そんな時に食べたいのはラーメンであり、家で食べるならサッポロ一番みそラーメンぽ子スペシャルである。

昨日も食べたな。

かくして朝からラーメンである。

「は??朝からラーメン!?」娘ぶー子が驚いていたが、食べたいのではない、体が欲しているのだ。

言い換えれば私の意思ではない。

体の意思である。

今日は「卵&キムチ&豆板醤入り」で、正真正銘のぽ子スペシャルだ。

キムチが年齢不詳で不安だったが、時間はまだ早い。

腹よ、壊れるなら壊れるが良い。午前中にケリをつける自信はある。

だてに長年、賞味期限の切れたものを食べてきたのではない。なめんな。

そもそもキムチなどという辛い漬物なら、大幅に賞味期限を過ぎても大丈夫だろう。

むしろしっかり漬かってぽ子好みに仕上がっているはずだ。

しかし実際には、「深漬かり」を通り越して水っぽくなっていた。

ヤバそうな味だったが、みそラーメンには辛味が合うのだ。

キムチではなく香辛料だと思って食べる。

卵は予め白身だけすすっておく。

ほんのりとみそスープの味のする白身も、悪くない。

ズルリンと飲み込むその時、一瞬自分が妖怪にでもなった気がしないでもないが。

残った黄身にプツンと小さく穴を開け、そこから流れ出す黄身を麺に絡めて食す。

極力スープに流れ出させないように食べるのがポイントで、これが結構難しい。

ダンナなどはそれがもったいないと言って、黄身は一口で麺と一緒に食べることがある。

確かにそれだと確実だが、ギャンブル性にかけて面白くない。

ダンナA型、ぽ子AB型である。

食べ終わったら丼を流しに置く。

置くだけで洗いはしない。

二日酔いなのだ。ラーメン食べただけでも偉いと思って欲しい。

そこへエルがチョロチョロとついて来た。

この頃エルは良く食べる。

キッチンに来るという事は「お腹すいた」という事だ。

ちびエルは一度にたくさん食べられないので、何度かに分けて食べさせている。

というか、皿にご飯が残っている限り、いつでも食べられるという事だ。

しかしその時には皿は空であった。

かわいそうだが、次の回までおあずけである。

別に食べさせてもいいのだが、乾燥ご飯を皿に入れるカラカラという音がすると、肥満猫ラがもれなくおびき寄せられてしまうのだ。

かわいそうなエル。私は抱き上げた。

慰めるつもりなのだが、実はエルは抱っこが嫌いだ。

さっそくのけぞって、蹴り飛ばす体制に入る。

そうはさせるか、愛しのおちびちゃん。

私はエルが「抱かれていること」に気付かないように、「よっとっと」と言いながら縦にゆすって歩き回った。

しかし、これで気付かないなんて事はない。

呆気なく蹴散らかされ、プライドも愛情もズタズタである。

二日酔いなので、ピアノギターは中止だ。

今週に入ってから、一度も弾いていない。

酒を飲むということは、こういう事でもあるのだ。

翌日の無気力も抱き合わせなのである。

しかしゲームはやる。

何と言ってもドラクエは、ソファにふんぞり返りながらできるのがいい。

これまでやっていたゲームはアクション要素が大きく、デレデレとはできなかったのだ。

いつ何時、壁が崩れるか敵が現れるか。

走る、よける、忍び足。

それに引きかえ、ドラクエは二日酔いでもできるゲームである。

そういえばダンナもついにドラクエを再開した。

1年近く放置していたのではと思うが、昨日は久しぶりにダンナがドラクエをやっている姿を見た。

我が家ではゲームは家庭平和のバロメーターである。

ただボーッとテレビを見ているダンナが心配だったが、これでゲーム漬けになってくれればぽ子も安心だ。

ソファにダラ~ッとふんぞり返りのんびりゲームをやっていたら、猛烈に眠くなってきた。

コントローラーを握った手に力が入らなくなってくる。

しかしセーブポイントの教会まで行かなくては、止めるに止められない。

ぽ子は目をつぶって、主人公ぽこっちを走らせた。

ぽこっちはあちこちにぶつかりながら、時間をかけて教会にたどりつく。

まどろみながら思い出したが、金曜日は空き缶と空き瓶の回収日であった。

どういう訳か金曜は寝不足や二日酔いが多く、逃してしまう事が多い。

そういえば水曜も二日酔いで、ペットボトルの回収を逃してしまった。

外のゴミ箱がパンパンになっていることだろう。

回収車の「左へ曲がります」のアナウンスが遠く聞こえる。

さらば、また来週、である。

今日はもう飲まない。