「ハッ、ケーキ!!」
気がついて目が覚めたのは夜の12時過ぎであった。
早々に飲み始めたので眠くなるのも早く、9時前にはベッドに入っていたのだが、大事な事を思い出したのだ。
ぶー子の土産に買ったケーキがまだ残っている。
昨日中に食べないと、二日経ってしまう。
1個700円もしたのに、二日後のケーキになってしまうなんて。
しかし時間は12時半。
私はもう歯を磨いてしまった。
先日書いたが、ぽ子は歯医者に丸め込まれ、アホほど長い歯磨きタイムになっているのだ。
もう1回あれをやる気はしない。
「良かったらケーキ食って(泣)」
ぶー子にメールを送る。
まだ練習しているのか。今夜も疲れて食べないかもしれないが。
「もう食った^^)」ええっ、もういたのか、もう食べたのか。
安心して寝ることにする。
「明日も今日と同じ時間に起こして。」
6時起き決定(涙)
今日のぶー子の出演は、午前である。
例によって時間はわからない。
11時頃だろうと踏んでいたが、10時半に「順番が急に変わったッ!!もうすぐ始まる!!」と電話が来た。
そこからは早送り状態である。
自転車をかっ飛ばし、学校へ向かう。
5分ほどで着くが、間に合うのか?
見知らぬバンドが演奏中であった。
プログラム、なし、バンド名、不明。
一体間に合ったのか、誰なのか??
果たして次に出てきたのはぶー子のバンドであった。
良かった、間に合った。しかし、
「今日はビデオ、勘弁して」とメールが来た。
確かに客が昨日よりも少なく、明らかに「ベースの3年6組のぶー子の親が、娘の姿をホームビデオに収めています」というのが丸わかりである。
録らなかったが、録れば良かった。
美しい思い出は、心の中にだけ残るのであった・・・!!
昨日食べ損ねたカレーとあんかけそばを食べた。
ぶー子のクラスの出し物はカレー屋台だったのだが、昨日2時間もバンド演奏を見ていたら終わってしまったのだ。
今日はぶー子のバンドだけ見てすぐに屋台に向かったのだが、チケットを千切って渡した相手は、なんとぶー子のモト彼であった。
今ぶー子は彼の事を苗字で呼び捨てにし、「きもい」とボロクソにけなしている。
学校でも全く口をきいていないらしく、私は彼を目の前にして凍り付いてしまった。
「あ、こんにちは。」
しかし彼ははにかんだように笑って、ちゃんと挨拶した。
恐れ入った。懐の広い青年である。
この一件をぶー子に話すと、さすがの彼女も「見直した」と感心していた。
さて、バンドが終わるとダンスまで二時間近くある。
学校にはもうそれほど魅力のあるものはなかったので、近くの古本屋に行く事にした。
私はスペインに行く事にしたのだ。
歯医者の雑誌で見て、一目惚れした。
そのためにはダンナを口説かなくてはならないが、それならあの雑誌が必要である。
百聞は一見にしかず。
わかっちゃいるが、散々ベラベラとスペインの魅力をダンナに説いた後、「そういう訳であの雑誌を見てください」と言ってしめたのだった。
しかし古本屋にはなかった。
まぁマイナーな旅行雑誌のバックナンバーである。あまり期待はしてなかった。
しかし、バリ島の号を発見した。
ついカゴに入れてしまったが、行き先が変更になるかもしれない。
結局肝心なものは買えず、その一冊を含めて十一冊も買ってしまった。
ぽ子は本屋に弱い。
古本屋となるともっと弱い。
ついでに言うと100均にもリサイクルショップにも弱い。
半額シールにも。
古本を十一冊買っても時間はまだ一時間ほど残されていた。
私達は学校近くのファミレスで、買った本を読んで時間をつぶすことにした。
ちなみに私が読んだ本は「ヒロシです。」である。
2巻も買った。
体育館はサウナである。
暗かったし人もたくさんいたので遠慮なくビデオを録った。
ぶー子は時々踊りながらフラッとしたが、そういう振りなのかフラついているのかわからず、倒れるんじゃないかとハラハラしながら見た。
まぁやっと終わった。
これで終わったのだ。
「で、明日はいつも通り起こしてね。」
え?明日も早いの!?
「普通に学校あるから。」
今夜も早く飲んで早く寝なくては。
まぁみんな、お疲れさまである。