1年間通った歯医者から、ハガキが届いた。
あれから半年が経った。
そろそろメンテナンスに来いと言う事だ。
そんな物をもらうまでもなく、予約をしようと思っていたところだ。
痛いんだよ、コンチクショー!!(泣)
思えばずっと痛かった。
ずっとずっと痛かった。
右の上の奥歯である。
ところで私は、ハガキをくれた歯医者で、右上の親知らずを抜いている。
当然抜いてしばらくは痛く、歯を磨く際にも細心の注意を払っていた。
生えていた物を、人間の力で無理矢理抜いたのだ。根元から。
長い間、痛んでいた。
私はこのポイントを刺激しないように、右奥はそっと磨くのが習慣になっていった。
その習慣はいつからか、「適当に磨く」に変わっていた。
ところがある日、細い歯ブラシで右奥をコチョコチョ磨いてみたら、激しい痛みが走った。
神経に障る痛みだ。
これは明らかに抜歯の影響ではない。
いつから痛みが変化していたのだ?
痛いが、痛む場所をハッキリさせたかったので、私はその細いブラシで奥歯を1本1本こすってみた。
ハンパねーぞ、奥から2番目の根元。
「メンテナンスですか?」
電話で苗字を言っただけで、クスッと笑われた。
あの悪夢のような1年が蘇る。
痛みに極端に弱いぽ子は、「この歯医者開業以来最高のビビリ」の称号をもらったのだ。
メンテだけではない、緊急事態だ、歯が痛い、と告げると、一番近い金曜に予約を入れてくれた。
それが今日である。
ところで昨日はやはり飲み過ぎて、仕事がつらかった。
寝る前にウコンドリンクと、また痛んでもいない頭のためにナロンエースを飲んだが、一応効果はあったようには思う。
それを差し引いてもこの二日酔いだったのだ。
飲み過ぎた。
「先生、どうなってるんですか!?」
レントゲンの写真を見て戻って来た先生に、食らいつくように聞く。
先生は、「う~~~ん、なんか変な銀歯が詰まってるね。」とだけ、ボソッと言った。
変な銀歯??
恐らく子供の頃に詰めた銀歯だが、歯医者が詰めたのだ。ウチのダンナが詰めた訳ではない。
それが「変な銀歯」って・・・。
まぁつまり、古い素材が変質していて、その下が虫歯になっていると。
「変な銀歯」という説明が必要だったのかは疑問だ。
「じゃ、ちょっと見せてね。」
イスが倒される。
私は幼児以下のビビリなので、先生もこのように幼児向けに声をかけてくれる。
口をあけると先生は、何か器具を持って口の中に入れた。
何だかはわからないがこれはきっと、
・水が出るか、
・風が出るか、
・いじられるか、
・削られる、
・・・のであろう。
GOD、そのどれも、かなり痛いのは明らかである。
「ちょっと待・・・。」シュー。
風であった(泣)ひどい事を。
「イタイイタイイタイ!!(泣)」私は思わず足をバタバタさせた。
「これはそうとう神経参ってるね~。」先生はケロッとして言う。
だから何度も言ったじゃないか、触るだけでも相当痛いと。
こんな目に合いたくないから繰り返したのに。
「神経、取るようだね。」
神経、取る。つまり、あの1年間の悪夢をまた繰り返さなくてはならないのか。
「またあれを1年やるんですか!!」思わず体を起こすと、「だから普通は1ヶ月で終わるんですよ。」と奥さんであり、助手でもある美人の彼女がケラケラ笑った。
確かに痛い痛いと騒いで治療を先に進ませなかったのは私だが、痛くないものを痛いといった訳ではない。
ハンパじゃなく痛かったのだ。
「今日は麻酔をするから、痛くないはずだよ。」私は麻酔の痛みは平気である。
じゃあ痛くならないようにジャンジャン打って下さい。
あぁまたこんなお願いをする日がこんなに早く来るとは。
「痛かったら左手を上げてくださいね。」
「痛いこともあるんですかッ!!」
「そりゃ、やってみないとわかんないよ。」もう呆れている。
しかし、ウィーンウィーンと削り始め、数秒もすると痛くなってきた。
「痛い」と言い切るほどではないが、痛くなかったものが痛んできたのだ。
しかもまだほんの序盤。
このままではもっと痛くなる。
「うあ!!」と言って左手を上げた。
「!?え?もう痛い!?」先生は驚いて手を止めた。
「あ・・・、痛そう・・・です・・・。」正直にそう言うと、「痛くなってから手を上げてね!!」と注意される。当たり前だ。
しかし再開してもほの痛い。
そいつは少しずつ近づいて来る。
痛いよ、きっと。このままじゃ痛いよ。
私はゆっくり左手を持ち上げる。
助手の奥さんは先生に、「どの辺から『上がった』とみなしたらいいですか?」と爆笑しながら聞いている。
もうダメだ、怖い、絶対に痛くなるよこれは!!
私は思い切って「う~~!!」と言って左手をさらに大きく上げた。
「やっぱり痛いか?」
「ハイ、もう痛いです!!」嘘でも何でもいい。自分を守れるのは自分しかいない。
かくして麻酔を追加となった。
しかし正解だった。
今度は全く痛くならなかった。
しかし、麻酔を多く打ったために、口の右半分がヘロヘロである。
この後にカレー(今年はラーメンではない。カレーイヤーと決めたのだ)が控えていたので不安である。
次回は来週だ。
歯医者の後の食べ歩きの方を楽しみに、今回の治療も頑張っていこうと思う。