人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

突然のホリデー

「ぽ子さん、来週あたり休みますか。」

残業ラッシュが落ち着くと、上司アンガがそう言った。

いかんせん、扶養控除の限度額を超えないように働かなくてはならず、こうして調整することになるのだ。

まぁ休日だ。

ありがたく頂く。

ダンナも有給が余っているとかで、休みをとった。

娘ぶー子は今日が終業式だ。

みんなで武蔵村山のショッピングモールに行く事にした。

しかしもう、花粉である。

昨夜も寝る前に鼻に薬を点したが、量を少々ケチッたために全然効かなかったのだ。

鼻が詰まって全然寝た気がしない。

もうちょっと、もうちょっと、と結局ぶー子が学校から帰って来るまで寝ていた。

給料日だ。

ダンナは銀行に寄り、お金を下ろした。

「お父さん、色々買ってくれるってさ。」お父さん、色々買ってくれるの!

やほ~~!!気合だっ、気合だっ、気合だっ、気合だっ、気合だっ!!

まずは食い放題でたらふく食い、苦しい苦しいと言いながらショッピングだ。

しかしだ。

10代の娘、40の母、同じく40のその夫。

それぞれ見たい所が違うので、おのずと誰かしら店の前や何かで待つ事になる。

そして、若者向けのブティックや雑貨屋が多いので、圧倒的にダンナが待たされるのだ。

私の方がダンナよりは見れる店が多いはずだが、それでも途中で疲れてしまい、どうでも良くなってしまった。

結局散々見て回って疲れ果て、買ったのはこれだけだ。

帰りの車で寝てしまったが、着いたらドイトの駐車場だった。

まだ買い足りないぶー子が、まだ買おうと言うのだ。

どうでもいいが、私は花粉のせいで鼻がグジュグジュで、丸めティッシュを握りしめて店内を回っていた。

もうポケットは湿った丸めティッシュで一杯である。

「お?」お?

「これは・・・。」これは・・・。

ダンナが手を伸ばしたのは、すき焼きもできる電気鍋だ。

ちょっと前にドラマ「ロスタイムライフ」で、主人公の家庭がすき焼きを食べるシーンがあったのだが、あれからずっとすき焼きすき焼きと言っていたのだ。

しかし鍋がなかった。

引越しのどさくさで、どこかへ行ってしまったらしいのだ。

かくして、今夜は何年ぶりかのすき焼きとなった。

どんだけ食えば気が済むのだ、私達は。

今みんな、目標体重を決め、週に一度体重を量って表に書き出しているが、もうただ書いているだけである。

小さなブレで増えたり減ったりして、まるで何の努力も感じられない数字の羅列だ。

家に着くと、床に猫の足跡がたくさんついていた。

色はないが、どうやら油っこい。

何だ?どうした??とキッチンを見ると、オイルポットが倒されていた。

私は時々、こし網に溜まるカスをきれいにするのを忘れて放置してしまうのだが、猫達がその味をしめてしまったのだ。

もうカスがあろうがなかろうが、フタを取って悪さをしている。

なので私はポットの場所を移したのだが、それでもダメだったという事だ。

床を拭き、キッチンを拭き、私→ぶー子→ミ→ラ→ダンナと風呂に入る。

エルは汚れていなかったので、どうやら罪を犯さなかったようだ。

これでますますダンナが、エルをひいきするようになるだろう。

今風呂に入っているのは、まだぶー子である。

あぁ、すき焼きが、近くて遠い。