あぁなんて平凡でつまらない1日だったのでしょう。
過ごしている間はそんな風に思いもしないが、こうして今日の事を書こうと思うと、何もなかったじゃないか。
つまんない1日だ。
エルがペットポトルと格闘している。
久しぶりに見る姿だが、相当じれているようだ。
エルはこの500mlのペットボトルをくわえてソファに乗せたいようなのだが、横から噛み付いても、大きすぎてくわえられないのだ。
手でつかもうとしても、軽いそいつはカラカラと流れて行ってしまう。
ミャウミャウと、苛立って変な鳴き声をさかんに出していた。
猫たちは晩ご飯を食べていない。
いつもなら私が仕事から帰ってからすぐにあげるのだが、帰宅してリビングに入ると、ラとミがへっぴり腰で部屋の隅に散った。
あう~ん、と媚びるような声で鳴く。
怪しい、これは何かつまみ食ったな。
過去形ではない、「食っていた」、過去進行形だ。
さらに「Just」をつけるとついさっき感が出て、より近くなるだろう。
生ゴミの袋が破られ、床にヨークマートのチキン炙り焼きの骨が散らばっていた。
ダンナの好物である。
ちなみに私は衣がついている方が好きだが、まぁどちらにしても猫の好物でもある。
「グォ~~~!!」とシャウトして追い詰め、尻を叩いてやった。
一応「ゴラ~~~!!」とも言ったが、通じないといけないので毎度バイリンガルにしているのだ。
ラとミを引っぱたくと今度はエルに向き直った。
私が部屋に入った時エルは、ひとりで電話の横に座ってこちらを見ていた。
そしていつものように「ごはんちょうだい~~♪」とすり寄ってきたが、これだって油断ならない。
エルにはつまみ食いの罪悪感が全くないので、共犯なんだか無実なんだか、顔色ではわからないのだ。
エルはタレ目である。
タレ目でやせっぽちで、歩き方がヒョコヒョコしているのだ。
ダメだ、私にはエルを罰せない。
まぁ真実がわからないんだから、仕方がない。と言う事で、ラ、ミよ、許してや。
エルは証拠不十分で無罪。
そんなエルも、結局ソファの裏におしっこをしてしまい、「グォ~~~!!」と追われる事になるのだった。