人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

奇跡の生還

ちゃんと1次会で帰ってきた。

初めてだ。

奇跡である。

職場から直接忘年会に向かう事にしたのだが、それだと1時間ほど時間が浮いてしまう。

私は年下の若き上司・アンガと、1次会の会場の隣の「餃子の王将」で時間まで飲んでいる事にした。

餃子をつまみにビールで乾杯したが、「ビール、サワー、日本酒、紹興酒」と酒のラインナップが悪い。

得てしてこういう所のサワーは薄くてまずいし、かといって1次会前から日本酒もなぁ。

賭けでウーロンハイを飲んだが、やはり薄くてまずかった。

そこで次に頼んだのは紹興酒である。

私は嫌いではないが、恐らく初めて飲むアンガの口には合わないだろう。

小さなショットグラスに注がれた紹興酒を、「一気にクイッといった方がいい。」と勧めると、彼は素直に一気に飲み干した。

咳止めシロップのような、カラメルのような、龍角散のような、お焼香のようなその液体に反応し、アンガは目を白黒させて口を歪ませ、「オエ~」とだけ言った。

アハハ、やっぱダメだったか。

でもね、他には日本酒しかないんだよ。

そこでアンガの携帯に電話が入った。

「ええっ!?」と言ってこちらを見、「もう全員揃って待ってるらしい。」と言った。

そこからは早い、アンガは携帯片手に上着を羽織り、私は伝票持ってレジに走る。

財布を持ったまま隣の中華料理屋に向かうがそれを落とし、中のカードと大量のレシートが地面に散らばった。

超恥ずかしい。

着くと席は私たちのふたつだけ空いていた。

つまり場所を選ぶ余地がなかったのだが、同じ部署のグッティさん、課長あたりの席で良かった。

これでホステス業は免れた。

のちに酔っ払って、一番苦手なおやじっちの隣に自ら飛び込んでいくのだが。

私は1次会で帰るつもりだったのだ。

先はないのだから、ここで思う存分飲み尽くさなくてはならない。

しかし、ここでのラインナップも王将と全く同じであった。

ウーロンハイを「濃い目で」と頼んだが、もうお腹がゴボゴボである。

結果その後は日本酒となり、ベロンベロンに酔い果てるのであった。

それでもちゃんと「帰ろう」と思ったから凄いではないか。

このコンディションで「帰る」という選択肢がまだ残っていたのだ。

ところで自転車は王将の駐輪場であった。

壊れたチェーンロックをダミーでつけておいたが、それを忘れてそのまま乗ったのだ。

私は壊れたチェーンロックを引っ掛けたまま、ガランガランと大きな音を立てて走る。

何でこんな音が鳴るのだ?

私は酔っているので理由がわからない。

壊れたか?

そこで家に電話をするのだが、こんな所で自転車が壊れたとロレツの回らない状態で言われても、である。

しかしダンナは来た。

車に自転車と私を積み込み、家に連れて帰ってくれた。

「どうしたらそんなに酔えるのかがわからない。」

のちにダンナがそう言う程であったが、2次会などに行かなくて本当に良かった。

あの時すでに降霊状態が始まっていたのだ。

「ブログの更新が・・・。」

「記事を・・・。」

と念仏のように言っていたらしいが、私のこのブログ魂、我ながら素晴らしいではないか。

ぶー子が代わりに入れておくと聞いて、安心して果てたのだろう。比較的大人しく布団に入ったようだ。

奇跡の生還であった。

帰ってきたぽ子に乾杯だ。

なもんで飲んでいる♪