人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ぽ子はまだイカる

よく寝た・・・。

昨夜布団に入ったのは10時半だが、その後古い「Tokyo1週間」の安うまKINGを見てから寝たから何時だったんだろう?

とにかくよく寝た・・・と思いつつ目が覚めたのだ。

そのまま携帯でエルの画像を見る。普段ではあり得ないこの優雅な寝覚め。

しかししょうもないぽ子この事だからこのままでは寝かねない。

踏ん切りをつけて体を起こす。

フフン、今朝は私が一番だ。

恐らく「ちげーよ、おせーよ、早くメシ!!」と言っている猫たちに朝ご飯。

起きて来たダンナは、今年3度目の春を迎えたエルのオモラシを2ヶ所見つけて拭いていく。

「どうしてやっちゃうんだろうなぁ、もう。」と言いながら、たいして汚れてもいないエルのトイレ掃除まで始めたが、その隙に空っぽのトイレハウスにやられてしまう。

何だかおかしくなったが、ここで笑ってプラスに作用するはずがない。

どうも私は笑いを堪えるのが苦手で、良くヒンシュクを買う。

笑ってはいけないと思うと余計におかしくなるの巻だ。

さて、昨日は久々にひどい抑鬱状態だったためみんなビビッていたようなのだが、

今朝は気分は良いが、バツが悪い。

すまないねぇ、降ったり止んだりで訳わかんなくて。

ダンナは出かけて行ったが、次に現れるのは娘ぶー子だ。

バツが悪いなんて生易しいものではない。

昨日私は、サリー達と飲んだ時にどのようにダンナに絡んだかを彼女に事細かに聞いたのだが、

自分で聞いておきながらあまりの情けなさと「そこまで包み隠さず私に言うか」という訳のわからない逆ギレで、

最終的には私がムッツリ黙り込んだまま1日経ってしまった。

圧倒的に私が悪いのだから、ここは私が折れるべきだろう。

と言うか、折れるも何も・・・。

しかし、古紙回収に出す紙類をまとめていたら、ぶー子が出した冊子が混じっていた。

あれほど何度も、雑誌やホッチキスのついたものはこっちに入れるなっつったのに。

その後には下らない4コママンガをパソコンからプリントしたものがどっちゃり出てきた。

1枚に4コマと言う、マリー・アントワネットの如き許すまじ贅沢だ。

そういえば、ダラダラしないように春休みをどう過ごすか紙に書いて出せと言ってあったのに、しらばっくれていやがる。

・・・と、全然違うことをイモヅル式に思い出す。

これは子を持つ女にありがちな現象である。

しかしこうなるともうぶー子に暖かい朝はもう来ない。

試験も頑張ったし(危なかったのだ)、2,3日は好きに過ごせば?とは言ったが、勝手に延長しているではないか。

ゲーム漬け、パソコン漬け、寝たい放題だ。妬ましい。

ムラムラムラと怒りの炎が上がる。

そこでぶー子が「おはよ~。」とシレッと起きてきた。

とりあえず、朝ご飯を食べ終わるまで待った。

私としては猶予を与えたつもりだが、良く考えれば有難くも何ともない猶予であった。

ぶー子は私の怒りが勝手に過去までさかのぼっている事など知るわけないのだから。

私の菩薩のような優しさの猶予に答えられなかった時は、皿洗いの件から突っ込んでいくつもりであった。

高校生になってから、小遣いを上げる代わりに自分の分の皿ぐらい洗えと何度も約束させたのに、何度も忘れているのだ。

どうせ今日もやらない。そこから突撃だ。友よ、靖国神社で会おう。

ところがあっけなく洗った。

もう何ヶ月も洗ってないのに、だ。

恐らく私に怒りのオーラがにじんでいたのだろう。

奴もダテに何度も怒られている訳ではない。しっかり防御法も学んでいる。

なら奇襲だ。

「あのさあっ。」

次の言葉を言うよりも早く、わざと床に出しっぱなしたぶー子の冊子に気付く。

「あー、これはここに入れるんじゃなかったねぇ。」

先回りされた。しかもぜ~んぜ~んビビッとらん。得意のスルー作戦か。

油を注いでくれたね?

「なんっども言ってるけどねぇ、・・・。」

私はクドクドネチネチとイモヅル式に思い出した様々な事を並べ立て、テーブルのタバコに歩み寄ったら

ぶー子は猫をじゃらしながら消えようとしていた。ちょっ、まっ・・・。

「アンタ、どこいくつもりッ!!」

「え??あぁ・・・(笑) だってお母さん、怒ると途中で良くいなくなっちゃうからさぁ。」

ムム・・・確かに。言葉が続かなくなると私はよく退場するのだ。

くっそ~、どうするぽ子よ。

「ムムッ、じゃあ行きゃいいじゃんッ!!」と言うと彼女は笑いながら猫をじゃらしつつ消えた。

まだまだこれから、と思ってつけたばかりのタバコと間抜けな私が残された。

もしかしたらいつか「お母さん、ごめんね(泣)」と言いながらぶー子が現れるのではないかと、絶対あり得ない都合の良い事を考えていたが、やはり彼女はそのまま現れなかった。

仕事に行かなくてはならない。

腹いせにゲームのコントローラーを隠してやったが、急いでいたのでコントローラーのPSボタンを押してしまい、本体の電源が入ってしまった。

慌てて本体の電源ボタンを押したが反応しない。

コントローラーで「本体の電源を切る」を選ばなくては切れないのか?

そんな時間はない。

くっそー、もうつけっぱで出かけるしかない。

ぶー子がくだらん4コママンガに使った紙代とどっちが高いのだ。

今日も遅刻ギリギリであった。