人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

芝刈り着手

8時に娘ぶー子が起きてきた。

約束だから降りては来るけど、すぐにソファに横になる。

私も眠かったから「ちょっと寝るか。」と隣で座り寝する。

グー・・・。

ん?今日は何かあったな。

芝刈りじゃん!!ぶー子使わなくては。

8時半だ。

「よしぶー子、ご飯食べて芝刈りだ!!」

「・・・えー・・・。」

8時に起きろだとか、ちょっと寝るだとか、飯食って芝刈りだとか、

我ながら勝手な奴だ。

でも「起きろ」は約束だし、「寝ろ」と命令した訳じゃないし、「芝刈り」も約束だ。

「えー」だけが心外だ。

はさみで芝を切っていく職人と、切った芝をゴミ袋に入れる職人とに役割分担だ。

はさみはぶー子だ。そうだろうよ、ヘアカットとゴミ拾い、どっちがいいかは一目瞭然だ。

飽きられたら困るのでヘアカットはぶー子に譲る。

しかし・・・。

ゴミ職人は思いの外たいくつで楽だった。

一方ぶー子はだんだん口数が少なくなり、顔つきも険しくなってくる。

「代ろうか?」代りたいのだ。そっちの方がおもしろそうだ。

「ううー・・・。まだいい。」

無理してるのか、ゴミ拾いよりは楽しいからか、頑張っている。

日が高くなってくるともっとツラくなってくる。

「・・・代ろうか?」

「・・・うー・・・。ん・・代る・・。」

おっし、はさみゲット。ゴミ、バイバイだ。

「見て!!」

見るとぶー子の手がブルブル震えている。はさみのせいか。

しかし、はさみもおもしろいけどかなり疲れる。

しかも思ったよりうまく切れなくてイライラする。

太陽は真上に昇り、クラクラしてきた。汗ダラダラだ。

これでは午後の仕事に支障が出る。

「今日はこの辺にしよう・・・。」

半分程でもう終わりにした。

私の手もアル中のようにブルブル震えていた。

おもしろいのでわざと色んな物を持ってアル中ライフを楽しませてもらった。

過酷な仕事だったけど、一度だけ盛り上がった時がある。

向かいの住民が出掛けて行った時だ。

初めて見たけど結構イロ男だった。

「・・・福山雅治・・・?」

ぶー子に言うと

「かぁ~~っこ良かった!!」とニコニコ。

「彼女いるのかなぁ?」

私がそんなこと知るかいな。

「また来たら聞いてあげようか?」

「うん、頼むよ。」

しかし本当に彼は戻って来た。

「聞くよ。」

「うん。」

・・・・・。

・・・・・。

芝を刈る音だけが響く。

行ってしまった。

私も本気じゃなかったけど、ぶー子もそうだったのか。

彼がいなくなったら何だか笑えた。

午後の仕事から帰って来ると何だか疲れて凄く眠くなった。

ダンナは帰る前に必ず会社から電話をくれるので、それまで少し寝よう。

ウトウト・・・ウトウト・・・。

8時半になっても電話はない。

ふわ~・・・、起きて風呂入ってご飯作ったらゲームでもやるか。

時間があるっていいな。

しかし風呂から出て暑いのでドアを開けたら、ダンナが立っていた。

「ひっ!!」

いないはずの人がいるというのはもの凄い驚きだ。

「うわっ!!」

ダンナも驚いた私に驚いていた。

どうやら留守電に「帰る」と入れてあったようだ。

あぁ・・・。何にもしてないじゃん、片付けもご飯の支度も、ブログもゲームも。

時間があるっていいなと思ったのはついさっきだったのに、急に忙しくなった。

11時半だ。

これから皿を洗ってゲームをやりたいけど・・・。

できるかな?